部落差別問題

人権

我が国固有の人権問題の1つに「部落差別」問題があります。

「部落差別問題」とは、一概には言えませんが、例えば、「ある人が、ある地区で生まれた。あるいは、ある地区出身の両親のもとで生まれた。その地区は、かつて江戸時代などにおいて、身分が低いとされた人たちが住んでいたところだった」場合に、そのことを理由に、現在でも就職や結婚、生活等で差別される問題であると言えます。

江戸時代などの封建社会の中、武士や町人、農民などの身分制度の外に、「穢多・非人」など、支配者側に都合のいいように付けられた身分階級がありました。この身分制度は、明治政府によって、1871(明治4)年に出された「解放令」によって、行政上は廃止されましたが、一度社会の中に浸透したこの「地位」は、現在に至るまで日本の地域社会に根強く残っています。

「あなたはどうして『部落の人だから』と言って差別するのですか」と問われて、合理的な理由のもとに答えられる人はいません。

過去の身分制度などによる「部落差別」に、合理的理由など一片もないからです。

特に、結婚差別は現在でも決してなくなっていません。「部落差別はいけないことだ」と分かっていても、いざ、身内が被差別部落の人と結婚するとなると「身内の○○の結婚や、就職に影響がある」という事が決して少なくないのです。

曹洞宗では、部落差別の解消へ向けた取り組みを、これまで多くの方々と連帯しながら続けてまいりました。今後も、差別撤廃・人権確立の取り組みの中心に据えて取り組んでまいりたいと思います。