第5回曹洞禅フォトコンテスト 入賞作品

曹洞禅フォトコンテスト

最優秀賞

テーマ:お寺での光景
大仏さまお身拭い
岡本 聖

審査員 石橋睦美先生より(以下 石橋先生)
最終審査を通過した作品を机上に並べてランクを決める段階になり、ひときわ目立ってきたのが本作品でした。大胆なカッティングによって生じたスケール感のある構図に加え、大仏のグラデーションを見事に表現したプリントの美しさ、さらには組写真の最大要素である映像展開によるストーリー性の表現、それらすべてが3枚の作品に凝縮されているのです。

被写体は東大寺に安置される盧舎那仏、通称大仏さまです。天平15年に聖武天皇によって発願され、開眼供養が行われたのは天平勝宝4年、実に9年の歳月を要した大仏さまです。しかし、完成後2度の焼失にあい、鎌倉、室町、さらには江戸期に修復され、現在に至る国宝です。

さて作品のモチーフとなるお身拭いですが、毎年8月7日に行われるそうです。150人もの白装束の僧侶が、大仏さまについた埃を拭う行事です。作品では1枚の画像に写り込まれている僧侶は1人ですが、大仏さまの大きさと比較でき、作者が撮影意図とする大仏さまの大きさが表現できました。

 

キャノン特別金賞

テーマ:ふるさとの情景
みなみ風
藤森 保男

石橋先生より
菜の花畑の中に1本の鯉のぼりが立っています。早春の南風が吹きわたり、鯉はのんびり空中を泳いでいる。そんな情景の中で、作者は菜の花畑を訪れた母子に目を注いでいます。母は菜の花の香りに包まれる花園で、鯉のぼりを背景にした我が幼子を撮影しようと腰をかがめている。実に情緒的な瞬間を撮えた作品です。きっと、ここで撮影された写真は家族のアルバムに収められ、幼子が成人してふとアルバムを開いたとき、自分の故郷を思い出させてくれる記録となることでしょう。

構図ですが、春霞を通してみる風景の広がりの中に、鯉のぼりと母子を点景として画面が構成されており、春ののどかな空気感が画面に投影されています。

 

優秀賞

テーマ:お寺での光景
穏やかな時間
川口 重一

石橋先生より
宇治市興聖寺で日々行われている、禅寺の生活ぶりを淡々と描き出した組写真です。映像として目を引くような秀美さはないのですが、常々見ているままにカメラを向け、撮影した作者の姿勢が感じ取れる作品です。だから現実感が伝わってくるのです。きっと作者は寺に近しい方なのではないでしょうか。寺のごく当たり前の動きが、衒いなく撮影されています。

 


 

テーマ:お寺での光景
滝渡御
石川 賢一

石橋先生より
「滝渡御」と書かれた題名をなんと読むのかわかりませんでした。ただ、この映像から神輿が滝壺の水面に沈み込みながら、滝壺を渡る祭事であることはわかります。最初に、写真を見た時に神輿だから神社の祭りだと思ったのですが、添付された解説を読むと龍王寺とあったので、とても珍しい祭りだなーと知りました。滝の配置と神輿、そして滝壺に浸る担ぎ手たちとで構成された画面は深い色調を帯び、とてもフォトジェニックです。

 


 

テーマ:ふるさとの情景
祈り高らかに
中野 金吾

石橋先生より
手太鼓を叩きながら祈願して歩く信者を撮影した作品です。冬の佐渡で出会った光景だそうですが、何を願い、旅を続けるのか。無心の様が身体の隅々まで行き届いているかのような信者の動きです。作者は、この情景を数枚撮影したと思われます。中から最も動きがユニークな作品をセレクトして、応募したのでしょう。

 


 

テーマ:お寺での光景
雪の瑞龍寺
藤牧 隆夫

石橋先生より
瑞龍寺は曹洞宗の仏教寺院として国宝に指定される名刹です。作品は降雪に沈む仏殿を撮影して、瑞龍寺の重厚感を表現しています。

ただ優秀賞に甘んじたのは、ストロボを使用したことです。フイルム時代ならば降雪を表現する為に必要な作業だったのですが、デジタルでは感度を上げ撮影すれば、もっと情感描写がなされたでしょう。またプリントに色ムラが生じています。

 


 

テーマ:お寺での光景
影照
宮田 哲志

石橋先生より
光と影を強調して、お寺の佇まいを描き出した作品です。撮影地は契珊寺という曹洞宗の寺院です。3枚の写真から禅寺なのではないか、と思ったのですが、それは写真の表現力の確かさによるのでしょう。ただ最初の写真は画面の大半を占めるシャドー部にグラデーションがなく、仏様がどのような環境にあるのか把握できないのが残念です。それに比べ、他の2枚は作者の思いのままを投影したシンプルな映像で、お寺の心地よさが映し出ています。

 

キヤノン特別賞

テーマ:ふるさとの情景
ひと休み
小泉 次郎

石橋先生より
四国巡礼で、お遍路さんに休み場を提供する旧庄屋屋敷の光景を撮した作品です。吊るし柿と、糸車が置かれた縁側に腰を下ろすお遍路さん。軒先から秋の陽が差し込んで畳に影を落としています。この画面構成によって、過ぎ去った昔から淡々と行われてきた習慣が今なお残る情景が描きだされます。遍路道沿いには、お遍路さんを迎い入れる心遣いが現存する。それは空海の教えを受け継ぐ光景なのかもしれません。

 


 

テーマ:お寺での光景
練行
スズキヒデヒロ

石橋先生より
高野山の早朝に修行僧が御堂を巡り般若心経を唱えていく映像は、過去幾度も入賞を果たしています。それだけに新鮮味に欠けてしまうのが残念です。ただ高野山の練行風景はとてもドラマチックで、カメラマンには格好のモチーフなのでしょう。ところで本作品ですが、3枚組で練行の佇まいを表現しました。それにより練行の時間経過が表現されました。

 


 

テーマ:お寺での光景
晴天好日
丹羽 修

石橋先生より
善通寺市の出釈迦寺といえば、空海が仏の道に入る伝説に彩られた名刹として知られています。そのお寺さんの春景色を撮影した作品です。画面のポイントを成す銅像は、空海なのでしょう。銅像は遠く街並みを望み、人々の衆生を願う空海の思いを具象化することを目的として建てたのかもしれません。四国霊場の春日和を写した作品です。

 


 

テーマ:お寺での光景
祈り
笹田 雅代

石橋先生より
護摩を焚く炎から立ち上る白煙が修行僧を包み込んでいます。その光景だけで映像として十分ドラマチックなのですが、左上に数人の見物人でしょうか、人を配置しました。また信者の足元には火が赤々と燃えている。この三つの要素によって、動感のある構図が完成されました。

 


 

テーマ:お寺での光景
坐禅中?
黒川 元子

石橋先生より
ニホンアマガエルがクルクマの花びらに包まれるように休んでいる。カエルの表情は、どこか安心している様子がうかがえて、作品を見ているとほんのりした気分にさせられます。作者がお墓まいりにでも行った時に遭遇した光景でしょうか。映像から、自然の豊かな息遣いが聞こえてくるようで、とても心安らぐ作品です。

 

特別審査員賞

テーマ:お寺での光景
風鈴まつり
山本 富夫

特別審査員 はなさんより(以下 はなさんより)
風鈴の色がとってもキレイ!風になびく風鈴からは美しい音色が聞こえてくるようで、自分もその中にいるような気持ちになりました。

 


 

テーマ:お寺での光景
ささやく
赤川 仲男

はなさんより
映画の一コマを見ているような写真。どんな会話が繰り広げられるているのか、想像するのが楽しくなる一枚です。

 


 

テーマ:ふるさとの情景
残り柿を求めて
八木 英雄

はなさんより
リスが柿を美味しそうに食べている姿と、その光景を包み込む空の青が心にすっと溶け込みました!みんなを笑顔にしてくれる写真ですね。

 


 

 

テーマ:お寺での光景
晦日のすす払い
広田 和夫

はなさんより
気持ち良さそうにすす払いをされているお釈迦さまの姿がとっても印象的。それにしても長い竹を使うのですね!

 


 

テーマ:お寺での光景
落とし物
木下 正治

はなさんより
首輪をしているかわいい猫!と思いきや、なぜか「落とし物」コーナーに。会場にいた全員が「くすっ」と笑ってしまった一枚です。

 

入選

テーマ:お寺での光景
はじめてのお祭り
千葉 昭彦

 


 

テーマ:ふるさとの情景
うまい!
折戸 信行

 


 

テーマ:お寺での光景
悠久の仏像
伊藤 一春

 


 

テーマ:お寺での光景
おびんずるさん
苫米地 朋哉

 


 

テーマ:お寺での光景
カンジキ詣り
佐藤 成公

 


 

テーマ:お寺での光景
春は桜
鈴木 明

 


 

テーマ:ふるさとの情景
梅雨の暮れ時
加藤 秀行

 


 

テーマ:お寺での光景
山門をくぐる着物女性
硫士

 


 

テーマ:お寺での光景
怒り
古屋 治

 


 

テーマ:ふるさとの情景
芳賀路の野仏の向こうを
石田 俊幸

 


 

テーマ:お寺での光景
額縁の中の本堂
増田 恵

 

 


 

テーマ:お寺での光景
奈良の春・秋
福島 哲郎

 


 

テーマ:お寺での光景
酷寒の会津法用寺とポラリス
ふとっちょパパ

 


 

テーマ:お寺での光景
沈思黙考
富田 康代