第6回曹洞禅フォトコンテスト 入賞作品

曹洞禅フォトコンテスト

今年のテーマは「誰一人取り残さない世界 〜のこしたい日常 あたらしい日常〜」

最優秀賞

コスモス畑で
秦 保博

審査員 鵜川真由子先生より(以下 鵜川先生より)
美しいコスモス畑に笑顔でたたずむ母と子。我が子の写真を一枚でも多く残したい母の、自撮りというシチュエーションが面白いですね。そしてその二人を見つめる撮影者の優しい視線が感じられる一枚です。今回応募頂いた作品には家族やお花畑をモチーフにしたものも多くありましたが、その中でも一際目を引いていたのがこちらでした。

まず鮮やかな色彩が目に飛び込んできました。逆光と人物の配置やバランスの取れた構図などに気を配りながらも、二人の自然な表情をしっかり捉えています。そして被写体と適度な距離を取ることで「余白」が生まれ、見る人の想像力を上手にかき立てています。

演出をしすぎるとあざとくなってしまうこともあるので注意が必要ですが、こちらの作品では自然体の温もりが表現されていて、見る人を明るい気持ちにさせてくれます。

抜群のロケーションと夕暮れの優しい光を上手に生かしノスタルジックに仕上げることで、とても印象的な作品になりました。

単写真というのも潔いですね。一枚で魅せる強さを持った作品だと思います。

 

キャノン特別金賞

技の継承
小泉 次郎

鵜川先生より
縄の編み方を教わっているところでしょうか。慣れた手つきで編むおばあ様の手元をじっくりと見つめるお孫さん。薄れつつあリますが、残して行かなければいけない日本の伝統の技ですね。

縁側に3人並んで作業をしている、何気ない家族のふれあいを写し撮ったものですが、目を引くのはやはり今では欠かせなくなったマスクの存在。当たり前の日常が大きく変わってしまったと実感する作品です。

モノクロにしたことでドキュメンタリーの要素が強くなりました。これから先も思い出すであろう「あの時」を記録した貴重な一枚です。ストレートに被写体を捉えた構図に力強さを感じました。

 

優秀賞

夜明けの歓喜
林 昌尚

鵜川先生より
朝靄の幻想的な光に包まれて並ぶ人々。見つめる先には登りつつある朝日が。全員で同じ方向に想いを向けているため、太陽が希望の象徴のようにも見えます。朝日ではなく、朝日を見る人々に目を向けた作者の視点が素晴らしいですね。人とは違う、自分だけの視点で世界を見つめること。それこそが何でもない日常を楽しく切り撮るコツです。

 


 

変わらぬもの
高野 千絵美

鵜川先生より
家の中での何気ない一瞬をとらえた一枚。笑顔がこぼれます。コロナ禍により帰省できないという状況にあった方も多いかと思います。家族の大切さを改めて実感した年でもありました。心を開いた関係だからこそ、このように飾らないリラックスした表情を引き出せるのですね。見ているこちらもつい笑顔になります。

 


 

こんな通学路だと、毎日楽しいね
大上 麻衣

鵜川先生より
青空と桜のピンクに少女の白いワンピース(とランドセル)がよく映えています。桜をモチーフにしたことで新しい生活であることが想像できます。そして少女のたたずまいから毎日の通学を楽しみにしている様子がよく伝わってきます。

 


 

ぬくもり
長谷 薫

鵜川先生より
長い歴史のあるお家のように見受けられますが、差し込む光の何とも美しいこと。静かな時の流れを感じ、先人の美意識の高さに敬服します。ただ、光のコントラストを強調したことで人物が黒く潰れてしまったのが惜しかった。つい立ての位置をずらすことで光の中に人影が浮かび上がり、より美しい作品になったでしょう。もう一手間かけることを心がけてみて下さい。

 


 

理解・融和
苫米地 朋哉

鵜川先生より
こんなに近い距離で見つめ合って、よほど気を許しているのでしょうか。この先の展開が気になる写真でもありますし、ほっこりする写真でもあります。私の家にも猫がいるのですが、ペットの存在には本当に癒されますよね。

決定的な瞬間を捉えたことは良かったのですが、構図としては猫ちゃんの耳までを入れた方がより造形的に美しい表現になったでしょう。

 

キヤノン特別賞

特別な日常
小玉 剛史

鵜川先生より
「桜・富士山・花火」という人気のモチーフですが、非日常的な演出をしたことで被写体の女性の存在感が光りました。まるで絵本の主人公のようにも見えます。花火の場面でも同じような演出をすれば、ストーリー性がより強くなり完成度が上がったでしょう。組写真はセレクト次第で方向性が変わります。今一度じっくり吟味をしてみてはいかがでしょうか。

 


 

花と共に
伊藤 優

鵜川先生より
仏様の微笑みには心が和みます。
バランスの良い構図とボケ感で優しさが引き立っています。花の色彩もアクセントになっていて、シンプルですが表情豊かな作品になりました。不安な世の中ですが、心穏やかでいられますように、と思わず拝みたくなる一枚です。

 


 

笑顔で伝わる愛
金子 理奈

鵜川先生より
愛情いっぱいの親子の笑顔。家族写真に勝るものはないとつくづく感じます。とてもいい写真なのですが、ピントが顔からずれているのが惜しいところです。この作品では表情が最も大切な要素。ピントが合っていてこそ背景のボケも効いてきます。動いている被写体に合わせることは難しいかもしれませんがぜひ気をつけてみて下さい。

 


 

夕暮れ
秦 保博

鵜川先生より
夕暮れ時。浮かび上がる人物が影絵のようにも見えます。よく見ると右奥にも二人のシルエットが。意図した構図がとても良いですね。夕陽はそれだけでドラマチックになりますが、一枚の写真にいくつものストーリーがあるのが面白い。画面には映っていませんが、作者の存在を感じる作品です。

 


 

明日への手紙
島 忠史

鵜川先生より
小さな体で一生懸命願っている事が愛おしく感じます。美しい花のピンクと少女のジャケットのピンクが合っていることで画面に統一感が出ています。ただ、お地蔵様の表情より土台の部分が目立ちます。もう少しあおりを抑えてもよかったかもしれません。

 

特別審査員賞

うたた寝
雨宮 美友

鵜川先生より
日常を独特な視点で捉えていて、キラリと光る個性があります。不思議な世界観についつい引き込まれてしまいました。もっとたくさんの作品を見てみたくなりました。

 


 

お祭大好き
平野 昌子

鵜川先生より
夏祭りの一コマでしょうか。ちょっと辛そうな体勢のお父さん。それでも子供を気遣う優しさが伝わってきます。生き生きとした飾らない表情が印象的な作品です。

 


 

コロナ対策
三戸 律子

鵜川先生より
何ともシュールで面白い一枚ですね。後ろに並んだ猫の石像も迫力があるのですが、人間が猫になっていて思わず二度見してしまいました。ユーモアの心を忘れないようにしたいと思わせてくれる一枚でした。

 


 

虹を撒く
岡本 一高

鵜川先生より
タイトルが素敵だと思います。空にかかった大きな虹も美しいのですが、ふとした瞬間に思いがけない場所で見つけた虹にも特別感があり、惹かれます。畑の緑が美しく映えていて印象的です。

 


 

大好きな祖母
前田 多喜

鵜川先生より
桜を見れる喜びを、毎年この季節になるとかみ締めます。私たち日本人にとって桜は特別な存在。大切な人には特別な風景がよく似合います。愛情が伝わってくる一枚です。

 

入選

不思議な世界
横山 周作

 


 

おうち時間
平野 昌子

 


 

悠久
後藤 文男

 


 

育ママ奮闘
戸崎 安司

 


 

いもうとがうまれたよ
因幡 美希

 


 

柿千手
和田 恒夫

 


 

コロナ退散蘇民将来
高橋 貞勝

 


 

ほのぼの
谷野 隆

 


 

雪の日も
水野 敬雄

 


 

気合いだ~!
長谷川 裕二

 


 

新しい未来に向かって
糸賀 一典

 

 


 

いつでもマスクです
馬場 歩

 


 

のこしたい日常
安岡 則久

 


 

何時までも一緒です
齋藤 尚夫

 


 

残したい日常
村田 利子