和えもの (春の香白和え) |
ぜんまい筍 | |
タラ芽 | ||
こごみ天豆 | ||
姫人参 | ||
蕨(わらび) | ||
土筆(つくし) | ||
揚 物
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蓬(よもぎ)麩釈迦揚 | |
山の芋磯辺揚 | ||
桜花馬鈴薯 | ||
百合根(ゆりね) |
四月のお料理は、春らしく山菜を主体とした「白和え」にしてみました。
三月、四月ともなると暖かくなり、八百屋の店先には、いろいろな春の山菜が出回ります。最近では栽培ものが多く、天然のものはほとんど見られなくなってきました。自然の環境を考えれば、これも仕方のないことなのかもしれません。
さて、白和えですが、素材はもとより、そのおいしさの決め手は、なんと言っても「ころも」です。衣がおいしくなければ、せっかくの素材も生かされません。また写真の白和えは、最初から和えずに、衣を別に添えてあります。これは見た目のこともありますが、お客さまの目の前で和え、小皿に盛ってさしあげるという演出も兼ねています。
ところで、白和えの衣は、ご存じの通りお豆腐です。「絹ごし」と「木綿ごし」の二種類がありますが、白和えには「木綿ごし」が良いと思います。
まず、豆腐を固めに良く絞ります。水気の絞り方は、ガーゼや布巾、またはサラシなどで豆腐全体を包み、それを二枚の板などにはさみ、少し斜めにして重石を載せます。よく水気を切ることが秘訣です。
次に、水気を切った豆腐を裏漉(うらご)しにかけるか、あるいは擂(す)り鉢にてよく擂り、これに砂糖、塩、醤油で味を付けます。醤油に塩分が含まれているので、塩はほんの少量で、また、醤油は濃口醤油でも良いのですが、豆腐の白さを保つためには淡口醤油や白醤油が良いと思います。この味付けの時点で、衣がゆるくなく、しっかりと粘土状であればグッドです。
山菜には特有のアクがあるのでいったん茹でますが、なかには灰汁(あく)で茹でなければならないものもありますので、素材をよく見極めて下さい。いずれにしろ、茹でた後によく水に晒(さら)し、水気を切って下さい。
このまま和えてもよいのですが、できれば八方出汁(お吸い物より強めの味付けの汁)で薄味を付けます。この時、山菜の色が変わらないようにあらかじめ八方出汁は沸かしておき、その中へ山菜を入れ、サッと一煮立ちさせた後、水気を切って良く冷ましておいて下さい。
揚物は、以前ご紹介した釈迦揚と、長芋を卸して海苔で巻いて揚げたものと、桜花型に抜いた馬鈴薯の揚物です。