三宝柑薯蕷蒸し | 百合根、木耳、湯葉、椎茸、 竹の子、銀杏、三宝柑餡、三葉 |
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三宝柑挟み焼き | 里芋、擬製豆腐、揚白髪牛蒡、 南瓜、枸杞の実 |
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今月は三宝柑です。三宝柑はその形状が達磨(だるま)にちょっと似ていて、葉付きのものは黄色と緑のコントラストが美しく、また、その用途は、ほとんどが中をくり抜き、釜にして、その中に料理を詰めてお出しするもので、料理屋さんでは好んで使われる素材のひとつです。 さて、一品目は「三宝柑薯蕷(じょうよ)蒸し」です。薯蕷とはナガイモやヤマノイモのことをいいます。今回は食感にやさしさを出すために水分の多いナガイモを使用しています。ヤマノイモを使いますと、蒸しても硬さだけが残ってしまい、あまり良いでき栄(ば)えにならないからです。 |
ナガイモを摺り、少量の昆布ダシを加えよく摺ります。塩、淡口醤油、味醂にて味を調えて、あらかじめ茄でて薄味をつけた旬の筍や百合根、椎茸、銀杏、湯葉、木茸(きくらげ)などをナガイモの中に混ぜ合わせ、三宝柑も霞(あられ)状に切って少量加えます。それをくり抜いた三宝柑の中にたっぷりと入れ、蒸し器で蒸し上げ、アツアツのところに、三宝柑の皮の部分を摺り卸したものと、三葉の微塵切りが入った餡(あん)を掛けて完成です。これはスプーンにていただいてください。
ふっくらとした中に柑橘系特有の香り、食べていくうちに、筍や木茸のシャキシャキ感や百合根や銀杏のホクホク感と出会えて、とても楽しい気分にしてくれます。
亀甲型の漆器に盛ってあるのは「三宝柑の挟(はさ)み焼」です。
余談になりますが、日本料理ではクセのある魚や、見栄えがしない魚などは柑橘系の果実でこのように挟んで焼くことがよくあります。また、漬け汁を作り、その中に柑橘類を入れて、臭みのある魚などを漬け込み、焼いてお出しする場合もあります。幽奄焼(ゆうあんやき)、あるいは柚庵焼(ゆあんやき)などと呼ばれるのが代表的な料理です。
さて、それでは本題の「三宝柑の挟み焼」を作ってみましょう。
この挟み焼の中身は里芋と豆腐です。
変な料理!?と思われるでしょうが、里芋料理には、レモン煮というレモンを煮汁の中に入れてクツクツと煮たものがあります。香りが良く、その酸味が嫌味にならず、サッパリとしてとても美味しいものです。
里芋はあらかじめ下味を付けて柔らかく煮上げたものを使用してください。
豆腐は軽く押しをして水気を切ったのち、焼いておきます。そして二枚に庖丁し、その表面に木の芽味噌を塗ります。次に豆腐と里芋を交互に三宝柑で挟み、オーブンにて焼き上げます。仕上げには、白髪牛蒡と南瓜の繊切りを揚げたものを天盛りにして、枸杞(くこ)の実をあしらいました。
三宝柑の焼いた香りと、食べてみると豆腐の中に山椒の香り。春の訪れです。