宗務総長談話(戦後75年を迎えて)


令和2年8月1日

戦後75年を迎えて

先の大戦の終戦から75年目を迎えました。私たちはこの節目の年に当たり、先の戦争で、あるいはその影響で命を落とされたすべての方々へ、衷心より深く哀悼の誠を奉げます。

今日、終戦後に生まれた日本国民の数は8割を超え、戦争体験の記憶が薄れてきていると言われております。永く平和を守り続けるためにまず私たちがなすべきことは、過去の記憶を決して風化させず、戦争の惨禍に巻き込まれた人びとのあらゆる痛みと苦悩に寄り添うことであります。

宗門は当時、国家政策や世論の流れに無批判に迎合してしまうことで戦争に加担してしまいました。この事実を深く反省し、戦争のない世界の構築と世界平和の永続のために果たすべき仏教者の役割と責務を常に見据えて、二度と同じ過ちを繰り返すことがないよう、重ねて決意を新たにし、行動していかなければなりません。

すべての生きとし生けるものにとって、命は愛おしく、かけがえのないものであります。その尊厳は、いかなる人においても絶対に平等であり、いかなる理由によっても「殺してもよい命」や「殺されてもかまわない命」は存在しません。

今もなお地球上では各地で紛争が起きており、多くの方々が傷つき亡くなられています。私たちは、「自も他も傷つけない」ということを教え、慈悲と寛容を説く、仏教の立場を貫き、どのような場合であっても、戦争の遂行や暴力・破壊への誘因に結びつく思想や社会行動に同意しないという「非戦」の立場を堅持します。また、先の戦争で核兵器が使用された被爆国の仏教者として、これからも核兵器のない世界を願い続けます。

仏法の尊さを未来へつなぎ、誰しもが安らかに生きられる世界の実現を目指して、「竿頭の先に未来をひらく」実践を不断に続けてまいります。


曹洞宗宗務庁 宗務総長 鬼生田 俊英

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