宗務総長談話(真珠湾攻撃80年を迎えて)


80年前の昭和16(1941)年12月8日、わが国は、アメリカ合衆国海軍の軍事拠点だったハワイの真珠湾海軍基地を攻撃し、アジア・太平洋戦争が開戦しました。

私たちは、この節目の年に当たり、先の戦争で尊いいのちを落とされたすべての方がたへ、深く哀悼の誠を捧げます。

奇しくも、12月8日は釈尊がお悟りを開かれたことをお祝いする成道会に当たります。開戦後に発行された曹洞宗報第62号には、戦争を賛美する語句が並び、成道の吉辰と開戦日を重ねた表現がなされております。

私たちにとって記念すべき日に、このような発信がなされたことに、仏教者としての心が痛みます。

当時は、国家が一体となり戦争遂行に邁進する中で、社会の様ざまな分野において、戦争に協力する風潮がありました。

宗門も例外ではありません。私たちはこの事実に真摯に向き合い、平和な社会の構築に向け、仏教者として果たすべき役割と責務を自覚し、決意を新たにするところであります。

いま現在も、世界の各地では戦争や紛争が絶えず、多くの人びとが、いのちの危険にさらされながら、日々を過ごしています。特にミャンマーやウイグル自治区で行われる人権侵害を深く憂慮しております。

また、わが国を取り巻く国際情勢に鑑みても、すべての人びとが安心して暮らせる社会の実現は、私たちに課せられた大きな課題です。

こうしたことを見据え、私たちは仏教者の立場から、仏さまの智慧と慈悲行の実践のもと、戦争の賛美や暴力の誘因に結びつく行為や思想に同意しないという「非戦」の立場を貫きます。

そして、一人ひとりが、かけがえのないいのちを輝かせ、世界中の人びとが互いに手を取り合える社会の実現を目指し、「竿頭の先に未来をひらく」実践を続けてまいります。

曹洞宗宗務庁    
宗務総長 鬼生田俊英

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