【International】北アメリカ国際布教総監部管内特派布教師巡回報告


「アメリカで“仏法”は弘まりますか?」

「それは難しい質問ですね。ただ、ひとつ言えるのは、お釈迦さまが成道されたあと五人の比丘にその内容をお話しされましたが、その後大勢の人たちがその教えを聴きたいと能動的に求め、そして弘まっていったことを考えると、アメリカの皆さま方が“仏法”を必要とされるかどうか、そして、それを求める人がどれだけいるのかにかかっていると思います。」

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オリンピア禅ゼンター(ワシントン州オリンピア)

平成27年9月16日、北アメリカ西海岸に位置するワシントン州の州都オリンピアのオリンピア禅センター(1995年、カルニ映道国際布教師によって開創)で午後7時より行われた一炷の坐禅後の法話のあとにいただいた質問の一コマです。私が特派布教師を拝命して8年。日本国内を特派巡回してこのような質問を受けたことはありません。そもそも国内では、法話のあとに質問があること自体珍しいことです。この質問は私を逡巡させましたが、冷や汗をかきながら必死でお答えしたのが冒頭のやりとりです。

平成27年度の北米特派布教は、9月13日から20日までカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州の西海岸の3つの州、7教場を巡回しました。ロサンゼルスの両大本山北米別院禅宗寺、サンフランシスコの桑港寺は日系の方々が主にお集まりでしたが、他の教場は坐禅をとおして「ZEN」を学ぼうとする方々が集まっている様子に、感嘆しきりでした。

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正法仏眼寺(オレゴン州ユージーン)

演題は「仏となるにいとやすきみちあり」。道元禅師のお示しの一節を演題とし、神さまの宗教が中心の米国で、お釈迦さまの教えの特徴を際立たせたいとの思いからこの演題として法話を展開しました。ところが巡回中、この演題をルメー大岳老師が英訳すると笑いが起きます。笑ってほしいところで笑いは起こらず、笑うところではないところで笑いが起きる。いったいどうしたことかと思案しました。ルメー大岳老師曰く「アメリカ人は笑うのが好きだから。」という答え。それでは納得いかず、国際布教総監部の櫛田俊道師に相談してみました。「演題を訳すと、『The Easy Way to Becomea Buddha』となります。聴衆は“ブッダ”で何をイメージしているのか、聞いてみたらどうでしょう。」次の教場から早速法話の冒頭、聴衆に「ほ・と・け……で何をイメージされますか?」と問いかけると、「仏像」「お釈迦さま」「お釈迦さまのように慈悲深い完成された人間」など、複数の答え。聴衆の方々がそれぞれ異なる「ほとけ」をイメージしていたのです。これは私の曖昧な表現の落ち度によるもの。翌日から改善したのは言うまでもありません。

では、巡回の様子を初日から順を追って報告します。

9月13日、ロサンゼルスの両大本山北米別院禅宗寺は小島秀明・東方大樹両国際布教師がお世話くださり、北米巡回の初日を無事終了しました

9月14日、オレゴン州のユージーン禅堂・正法仏眼寺は、日本の仙台のお寺に長期間おられたマクマレン懐浄国際布教師が運営をされていて、瀟洒な建物に信者さんたちが朝な夕なに集まってこられ、師の人徳のたまものと感じ入りました

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ハートオブウィズダム禅テンプル(オレゴン州ポートランド)

9月15日、オレゴン州最大の都市ポートランドのハートオブウィズダム禅テンプルは、小児科医のべイズ澄禅国際布教師ご夫妻が運営しています。町なかの禅堂は教会をリニューアルしたもの。翌日、本拠にしている郊外の大願禅寺を拝登。大勢の若者が生活をされていて僧堂のようでした。

9月16日、同州オリンピアのオリンピア禅センターは、岡山県玉島の円通寺住職仁保哲明老師に師事されたカルニ映道国際布教師が運営をされ、地域の人たちが大勢集まってこられました。良寛さまを敬慕し「五合庵」を敷地内に建立された、師の熱い思いが伝わってきました

9月17日、カリフォルニア州サンフランシスコ禅センターのひとつグリーンガルチファーム・蒼龍寺は、北アメリカの中心的なセンターのひとつ。カッツ永順国際布教師がセントラルアボット(総責任者)として統括され、ウェンダー本修国際布教師がサポートをされているとのこと。翌朝、ウェンダー師がお茶を点ててくださり感激しました。

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オーシャンゲート禅センター(サンフランシスコ州サンタクルーズ)

9月19日、サンフランシスコ南部のキャピトラのオーシャンゲート禅センターでは、ロバーツ深修・キンスト道養両国際布教師が運営され、町なかのオフィスのような景観の禅堂。小規模ながらも積極的な活動をされていました。

9月20日最終日、サンフランシスコ桑港寺は、赴任半年の黒瀧康之国際布教師が、若さでメンバーの方々と溶け込んでおられた姿が印象的でした

日系の方々の拠り所であるお寺と、「ZEN」を学びたいと集う禅センター。北米には2種類の教場がありましたが、共通しているのは、どちらも「教え」が生活に根付いているということと、メンバー各自の「求める気持ち」が力強いということです。私たち日本で生活するものが、今一度原点を顧みる必要を痛感し帰国の途につきました。 最後になりますが、お世話になった多くの方々に衷心より御礼を申し上げます。

 

(特派布教師 坂川資樹 記)

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