梅花のこころ~梅花流詠讃歌~ ─「釈尊花祭御和讃」 二番 ─

2019.04.01

毎月発行の『禅の友』では「梅花のこころ~梅花流詠讃歌~」と題しまして、梅花流詠讃歌の曲をもとに、解説や執筆者の想いなどを紹介しています。今月は梅花流特派師範、千葉県新井寺、松井量孝先生による、「釈尊花祭御和讃」 二番のお話です。

 

てんにもにもひとりなる  とうとわれ目覚めざめよと

おしたまいしのりはな      のちまでもかおるなり

                    釈尊花祭御和讃しゃくそんはなまつりごわさん」 二番

 

四月八日は、お釈迦さまが誕生された日です。お釈迦さまは、約二五〇〇年前、インドの国境に近いネパールの「ルンビニー」という花園でお生まれになりました。わたしたちは、この日を「花まつり」として親しみ、お祝いいたします。

この歌詞は、お生まれになったばかりのお釈迦さまが、七歩進まれ、天と大地を指さして、「天上天下唯我独尊(一人ひとりがみな尊く、かけがえのない存在である)」と宣言されたという、伝記にもとづいています。このお釈迦さまのみ教えに触れるとき、いつも思い出すことがあります。 

詠讃歌を学びはじめて六、七年が過ぎたころ、どんな曲を唱えても思うように声が出ず、安定したお唱えが少しもできなくなってしまいました。ぐんぐん上達している仲間を感じながら、 詠讃歌を学ぶたのしさや悦びどころか、続けていく自信さえも失ってしまいそうになっていました。

そのとき、 日ごろご指導いただいている先生に言われたことが心に残っています。「ゆっくりいけばよい。焦らなくてよい。あなたはあなたのお唱えをすればよい」。人と比べることはない。焦らず、あきらめず、ただし怠ることなく、自分の歩幅で学び続けていけばよいという励ましをいただきました。先生の言葉に、固まってしまった心がほどけ、すーっと軽くなるのを感じました。

一人として同じお唱えはありません。それぞれが詠讚歌と一生懸命に向き合い、精いっぱいにお唱えすることが、尊いことなのです。  

皆さまもどうぞご一緒に唱えいたしましょう。

 

こちらから視聴できます

 

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