【International】フランス共和国海外特別寺院 観照寺授戒会報告


フランス 観照寺全景

本年6月1日より5日までフランス共和国、海外特別寺院観照寺において授戒会が修行されました。
フランス内陸部の中都市リモージュから車で1時間ほど走った森の中に、観照寺の伽藍は聳え立っています。周囲の美しい森や湖は国立公園にも指定されており、静かな禅の修行には相応しい土地です。
観照寺は、2002年にフォーレ泰雲国際布教師により設立されました。その後、従来からあった建物に加えて法堂・僧堂・山門が整備され、現在の姿となりました。山門や玄関は一見するとまるで日本式の建築のようですが、オレンジ色の瓦屋根はフランス南西部の建築の特徴です。庫院にあたる部分の3階建ての建物はかつて修道院であったものを改装したもので、窓枠の水色が鮮やかです。
今回の授戒会は、2016年に行われた禅道尼苑の授戒会以来、ヨーロッパでは2度目となり、戒師に大本山永平寺副貫首・北海道中央寺住職南澤道人老師をお迎えし、

戒師の南澤道人老師による御垂示

イタリア・普伝寺のグアレスキー泰天国際布教師が教授師を、引請師は佐々木悠嶂ヨーロッパ国際布教総監がそれぞれ務めました。観照寺のフォーレ泰雲国際布教師は説戒師を務められました。
戒弟はフランス国内外から58名が集まり、観照寺の僧侶15名の他にもフランス・イタリア・スペインなどから参集した随喜の僧侶約25名、日本からの随喜僧侶12名、アメリカからの随喜僧侶5名、さらには典座寮・茶所・掃除等のスタッフとなった観照寺のメンバー多数を含め、総勢約170名がこの授戒会のために集いました。
今回の授戒会は、基本的にフランス語と英語を使って修行されました。たとえば、説戒や直壇口宣はフランス語で話され、英語に通訳されます。戒師さまの御垂示のように日本語を用いる場合は、フランス語と英語の通訳があります。直壇寮の打ち合せも、フランス語と英語を基本として行われ、日本語が必要な場合はフランス語と英語の通訳が入りました。
一方、経典の読誦は日本語とフランス語が基本となりました。「般若心経」や「大悲心陀羅尼」のように日本語で読むことに親しまれているお経はそのまま日本語で読みましたが、「参同契」「宝鏡三昧」はフランス語に翻訳されたものを読誦し、回向・略三宝はフランス語でお唱えされました。

戒弟飯台


驚いたことに戒弟の巡堂でお唱えされる「南無三世諸仏」はフランス語に訳され、「オマージュ・オ・ブッダ・デ・トロワ・トン」と皆で唱和していました。最初は聞きなれない響きに違和感があったものの、毎朝の巡堂とともに観照寺の伽藍いっぱいに広がる響きにいつしか耳も慣れ、戒弟もフランス語のお唱えに親しんだ様子でした。
このように、なるべく経文や偈文を現地の言葉に訳してそれを聞いただけで教えに触れることができるように、という主催者の配慮があり、戒弟に配布された経典としおりには、各種経典や回向の翻訳が入念に準備されていました。

戒師の巡堂


日程は、日本の授戒会に準じて修行され、初日から3日目にかけて毎日説戒が行われました。3日目の懺悔道場では、戒弟1人1人が日ごろの過ちを懺悔し、三師によって懺悔帳が焼却されまた。4日目の教授道場・正授道場で、戒弟一同は登壇し、戒師より血脈を授かり、お釈迦さまから数えて88代目の仏弟子となるご縁を結ばれました。残念ながら戒会中シャワー室で足を滑らせて怪我をし、途中で下山を余儀なくされた者もありましたが、最終的に57名の戒弟が血脈を授かりました。最終日となる5日目の完戒上堂では、すべての問答は日本語・英語・フランス語に通訳され、大開静で三師は会場を後にされました。
すべての行持を終えた後には、安堵の表情を浮かべたフォーレ泰雲国際布教師に感謝の言葉をかける沢山の戒弟の姿がありました。直壇長を務め、諸行持を無事進行し終えたゲノー夜照国際布教師の目には大粒の涙が浮かび、この戒会円成に至るまでの労苦が偲ばれました。これほど大規模な授戒会をこのヨーロッパの地で円成させた情熱と努力に深い敬意を表します。

完戒上堂


また、170名の食事を毎日3度準備した典座寮の活躍はこの授戒会でも特筆すべきことです。戒弟の食事は小食は玄米粥、中食・薬石は日本の松花堂弁当の弁当箱に毎度色とりどりの野菜をふんだんに使った西洋風の精進料理が用意されていました。常に工夫を凝らした料理には毎度驚かされるばかりであり、フランス風のサラダが中心の日もあれば、あるいはインド風ピラフがメインであったりすることもあり、時には日本の味に慣れた日本人随喜僧が思わずうなってしまうほど絶妙に味付けされた和食の献立も並んでいました。

丹精込めて作られた戒弟の食事

戒弟の方々も、戒会の終わりに典座寮に感謝の言葉を掛けて下山していきました。
ヨーロッパで修行された授戒会はこれが2度目であり、今回はこれをさらに現地に根付かせるべくフランス語による経典読誦などの新たな試みが行われました。慣れない法要には日本人僧侶の手助けが必要な場面が見られましたが、将来的にこの授戒会が何度もヨーロッパで繰り返し行じられる頃には、ヨーロッパ人の手だけで授戒会が修行できるようになることでありましょう。
 

授戒会を通じ、曹洞禅がさらにヨーロッパの大地に根づいてゆくことを願ってやみません。

 

(ヨーロッパ国際布教総監部記)

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