【International】曹洞宗国際センター所長に就任して


昨年10月1日、曹洞宗宗務庁において、釜田隆文宗務総長(当時)より曹洞宗国際センター所長任命の辞令を、直接拝受いたしました。今でもそのときの身の引き締まる思いを忘れることはできません。

ヒューストン禅センター 祥雲寺

曹洞宗国際センターは、本年2月にサンフランシスコの桑港寺より、カリフォルニア州サンマテオ市へと事務所を移転いたしました。この移転の大きな目的は、国際センターが日系社会の中から文字どおりアメリカ社会の中に進出し、これまで以上に様々な人種が入り混じる環境の中で、より積極的な活動を目指すことにあります。また、サンマテオ市は、グーグル社、アップル社、フェイスブック社、アマゾン社といった多くのグローバル企業や技術系の新興企業が本社を置く、いわゆる「シリコンバレー」の北端にあり、禅に関心のある企業や労働者が特に多い地域でもあります。そのため新たな移転先は、常時参禅者を受け入れることができるよう、仏間兼坐禅堂として使用可能なスペースを確保しました。本年10月を目標に、近隣で働く禅に関心がある人々や住民に広く門戸を開放し、坐禅会や法話の会の開催を準備しております。
さらには、現地僧侶によって北アメリカ全土に広がった禅センターや禅グループと未来志向の関係構築を目指し、積極的に交流を深めてまいります。そのような連携の先には、「北アメリカ曹洞禅」という現地僧侶による自立した現地法人の運営という、次なるステップへと進んでいくことが考えられます。

祥雲寺の理事たち

私が代表を務める寺院はテキサス州の州都ヒューストン市にあり、メンバーは200名、常住の僧侶が3名おります。多くの樹木に囲まれ、菜園もあり、都市部にあっては比較的緑が豊かです。正式な寺号は「慈月山祥雲寺」であり、平成25年に海外特別寺院として承認されました。「祥」は鈴木俊隆老師の道号である「祥岳」からいただき、「雲」はメキシコ湾で誕生しヒューストンを通過し北上する壮大な「雲」を意味しています。お寺の本堂にあたる建物は築100年ほどで、日本の寺院に比べるとまだ赤子のようなものですが、いくつかの点で日本の小規模な修行道場に似ており、毎日の坐禅や摂心に力を入れています。北アメリカではこのようなかたちの禅センターは新しく、仏教を通して多くのことを学び、互いに分かち合っていく場所となっております。
そして、私がいつも心掛けていることは、「どのようにして私たちは一仏両祖のみ教えを学び、どうやって今の時勢に適した活動を行っていくのか」ということです。メキシコ共和国に隣接するヒューストンという場所柄、移民の問題は後を絶ちません。祖国に親類を残してきた人や、未だアメリカに入国できずにいる家族を待っている人が数多くいます。このような人々の苦悩を、仏法を通じて少しでも和らげられるよう、精神的な安らぎへ導くことができるよう、日々活動しております。

祥雲寺での法要

現在に至るまで、私たちは西洋に蒔かれた禅の種を、西洋の気候に適応させながら、しっかりと根付かせるために、皆と協力しながら育んできました。この作業は、釈尊が苦悩から解脱、煩悩から悟りへと掛けられた架け橋をアメリカの大地に築き、修復を重ねてきたものだと私は考えております。また同時に、日本の曹洞宗から世界に広がる曹洞禅への架け橋だとも考えます。今、この架け橋を慈悲と智慧が往来し、慈悲は私たちの理解、好奇心、忍耐力を高め、智慧は活発に正しく開花しているのだとも思います。
現代社会には、多くの誤解や焦り、また、恐怖が存在しています。私たちの曹洞禅の実践はこうした様々な問題に対しての答えを示す道であり、すべての曹洞宗の僧侶が互いの意識を共有できると考えています。また、私たちの意識の共有はこの世界を安寧へ導く道になると信じております。
この信念のもと、将来的に「北アメリカ曹洞禅」が展開されていくうえで、創造的組織としての国際センターの果たす役割は非常に大きなものであると自負しております。めまぐるしく変化していく現代社会において、世界を席巻している企業が集結しているここシリコンバレーから、只管打坐と、「一歩立ち止まる」禅の教えを発信できるよう、積極的な事業展開を進めていく予定であります。

参禅会

また、2022年に迎える北アメリカ曹洞宗国際布教100周年記念行事は、北アメリカに多く存在する曹洞禅系の僧侶や禅センターの人々が原点を認識し志を1つにできる、またとない機会になると考えています。北アメリカにおける禅センターの絆を深め、さらには日本の曹洞宗と多くの禅センターが強いつながりを築いていけるよう、歩んでまいりたいと思っております。

 


今後、曹洞宗国際センターが、更なる宗門の国際布教発展の礎になることを心より願うとともに、皆さまからのご意見やご提案などをお寄せいただけると幸いです。
互いに手を取り合い、協力しながら共に歩みを進めるべく努めてまいります。 合掌

(記:曹洞宗国際センター所長 ゴッドウィン建仁)

 

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