【International】SOTO禅インターナショナル主催 2019年度海外子弟研修会開催報告


本年度で5回目となったSOTO禅インターナショナル主催海外子弟研修会が8月2日(金)より8日(木)にかけて行われました。この子弟研修会は、曹洞宗寺院の子弟等を対象に、海外の日系寺院や禅センターなどを視察し現地の人々と交流することにより、曹洞宗の国際布教の歴史と今を学び、それぞれの未来に役立ててもらうことを目的として2015年から毎年企画されているものです。
米国西海岸での初回、ハワイオアフ島での2回目から4回目とは異なり、今回は初めてオアフ島からハワイ島まで足を伸ばしての研修となりました。
廣澤庸道さん(神奈川県成願寺子弟・ 高2)、廣澤莉彩さん(同・中3)、久保井彩日さん(東京都大泉寺子弟・高2)、小野晶子さん(山形県洞松寺子弟 ・高2)の4人と共に引率として私も参加させていただきました。

ヒロ大正寺の施食会にて

今回はハワイ総監部のあるオアフ島の正法寺、ハワイ島ヒロの大正寺、コナの大福寺を起点として周辺を視察しました。初日は国際布教師の吉田宏慧師と星野真隆師に出迎えていただき、正法寺内に寝袋で1泊しました。特に吉田師には日系人墓地にご案内いただき、ハワイの歴史から日系人と曹洞宗の国際布教の歴史と現状まで、よくご説明いただきました。 
ハワイでは明治元年より日本からの移住が始まり、36年後に曹洞宗の開教が始まっています。日系寺院は信仰の拠点であると共に教育の場として、また日本の伝統や文化を担う場として大切にされてきたこと、また第二次世界大戦中には多くの日系人が収容所での生活を強いられ、そのような厳しい時代にお寺や僧侶が大切な役割を果たしてきたことなどを教えていただきました。
正法寺の外観はインド風でしたし、他宗派の外観も日本のお寺とはかなり異なっていましたが、戦争によりアメリカ人なのか日本人なのか日系人がアイデンティティーを求められていた苦しい時代があったために、正法寺が日本風でなく仏教のオリジンを意識したインド風建築となったのだとうかがい、子どもたちは驚いていました。
2日目は飛行機でハワイ島に渡り、ヒロ大正寺に2泊しました。ヒロではラング明心師の案内でキリスト教会内部にあるアラネオ禅堂を訪問し、故内山興正老師の御著書を英訳されているトム・ライト師と共に脚を組ませていただきました。
見知らぬ者同士最初は緊張していた子どもたちもこの頃には打ち解けて、大正寺では盆ダンスに参加したり施食会にお参りしたり、お斎会場の掃除の手伝いをしたり、積極的にメンバーさんたちとも交流するようになっていました。「灯篭流しで御詠歌に参加しては」という住職の畑辰昇師のお声掛けにも答え、しっかりと役目を果たしてくれました。
ヒロからコナへは今もなお活動を続ける火山地帯を壮大な自然の息吹を感じながら車で移動し、ダライ・ラマも訪れたチベット寺院にも寄りました。
コナ大福寺の法務担当の中出慈光師に迎えられた後は、歓迎会でウクレレグループにもてなしていただきました。
実は前日、返礼のためにフラダンスを披露しようという計画を急遽立て、子どもたち自ら「ハートスートラ」というチーム名を付け、一生懸命練習してくれました。男子の庸道さんには英語での御礼とチーム紹介をしてもらいましたが、1人で頑張ってくれました。
歓迎会はとても和やかな雰囲気で終了しました。
翌日は大福寺の坐禅会のメンバーと一緒に坐った後、朝食会でおもてなしを受けました。コナは欧米人の移住も多くメンバーも様々で、海外寺院における坐禅会の役割を垣間見ることが出来たと思います。
その後、内田ファームという1994年まで実際に使用されていた日系人の家を訪れ、物を大切にし工夫して生活していた時代のことを学びました。
国立ホナウナウ歴史公園ではハワイ王国の歴史を実感しながら、海沿いにある公園でしたので、ハワイならではのピクニックランチを楽しむことも出来ました。夜にはハワイの寺院にしっかりと根付いた和太鼓グループによるレッスンも受けました。
研修中、子どもたちは説明に集中して耳を傾け、一生懸命交流する姿が見られていましたが、口頭でも「本当に楽しかった」「帰りたくない」「参加して良かった」と言っていました。大変有意義な研修であったと共に、最後まですべてのスケジュールを楽しめたのは、とにかく現地の国際布教師、メンバーさん等による準備と当日の多大なるご協力によるものだと思っております。関係各位と本研修会実施にご支援いただきました、両大本山、宗務庁、SOTO禅インターナショナルの会員の皆さまに御礼申し上げたいと思います。
最後に、これまでの研修会の後、特に女子の間で、お寺の子という環境を共有して打ち解け合ったネットワークを楽しんでいる実態があることも併わせて報告させていただきます。

(記:新潟県興源寺徒弟 佐藤慧真)

子供たちの声

アラネオ禅堂での坐禅

小野晶子 (高校2年)
今回の研修期間中、私たちがずっと考えさせられ続けたテーマがあります。それは「日系アメリカ人の過去と現在」です。
明治時代に日本人のハワイへの入植が始まりました。当時のハワイは発展途上で、彼らはジャングルを切り開き、自分たちの住居と仕事場を確保するところから生活を始めました。私たちがコナで見学した内田農園には、物資に恵まれない状況ながら、ルーツである日本のことを大切に想っていた移民生活の一端が見てとれます。
祖国を離れた日本人の心の拠り所となったのが仏教でした。ヒロやコナなど、日系人が多い都市には、大正時代にかけて多数の寺が建立されました。年中行事のたびに日系人たちが寺に集まることで、次第に寺は日系コミュニティの中心地の1つとなっていきました。その伝統は今になっても受け継がれています。私たちが参加したヒロの大正寺の盆踊りでは、たくさんの日系人が踊っては、合間に挨拶を交わしていました。
しかし、その伝統は近年廃れつつあります。現在ハワイにいるのは日系3世、4世が主で、アメリカ式の教育を受けた人がほとんどです。彼らにとって、仏教はもはや身近なものではなく、キリスト教に改宗する人も増えているといいます。
一方で、新たな潮流も生まれています。1960年代以降、諸外国で禅という思想への関心が高まってきています。各寺が催す坐禅会には、日本の血を引かない人も多く出席し、いつも大人気なのだといいます。
ハワイの寺院の歴史は、日系アメリカ人の歴史にぴったりと寄り添いながらも、独自の動きを見せています。今回の研修を終えて、あまり知識のなかったハワイの曹洞宗がグッと身近に感じられ、これからはどのように変化していくのか見守っていきたいと思いました。
もちろん観光も大いに楽しめました。見たこともないカラフルな鳥や巨大な木が当たり前のように佇んでいるのは刺激的だったし、海はこれ以上ないくらいにきれいでした。皆さんもハワイに行ってみてはいかがでしょうか。

久保井彩日 (高校2年)
私は今回でこのハワイ研修には2度目の参加だったのですが、前回からまた新たに学ぶことも多く良い経験になりました。
前回は日系移民についてや他の宗派との交流について学習できましたが、今回はメンバーさんとの距離が近かったので、ハワイのお寺のかたちを知ることができたなと思います。
ヒロ大正寺では盆ダンスと灯篭流しに参加しました。盆ダンスは昨年も正法寺で参加しましたが、大正寺ではJ‐POPも踊っていて、中でも「恋するフォーチュンクッキー」がかかった途端に、今まで見るだけだった人も輪の中に集まって来て踊っていたのが印象的でした。太鼓も、元々の和太鼓だけでなくスネアドラムが混ざっていて新鮮で面白かったです。
灯篭流しは、日本でも同い年だとちゃんと知らない人が多いかなと思うのですが、ハワイでもやっていることに驚きました。形が地元のとは大きく違っていて、灯篭が水溶性で溶けるようになっていたり、途中までボートで運んでいたり、そのまま海に流れて行くのも新鮮でした。
また、大正寺では、初めて英語でのお経を聞きました。英語の方が言葉の意味が分かる部分が多くて面白かったです。外国の人にも何をしているのか分かるように、でも形を変え過ぎて日本の人が寂しい思いをしないように考えられていて、ハワイならではだな、と思ったし、文化の交流を間近で見られて良かったです。

ヒロ大正寺の灯篭流しに参加して御詠歌を唱える

今回の研修で、ハワイのお寺をよりの中に集まって来て踊っていたのが印象的でした。太鼓も、元々の和太鼓だけでなくスネアドラムが混ざっていて新鮮で面白かったです。
灯篭流しは、日本でも同い年だとちゃんと知らない人が多いかなと思うのですが、ハワイでもやっていることに驚きました。形が地元のとは大きく違っていて、灯篭が水溶性で溶けるようになっていたり、途中までボートで運んでいたり、そのまま海に流れて行くのも新鮮でした。
また、大正寺では、初めて英語でのお経を聞きました。英語の方が言葉の意味が分かる部分が多くて面白かったです。外国の人にも何をしているのか分かるように、でも形を変え過ぎて日本の人が寂しい思いをしないように考えられていて、ハワイならではだな、と思ったし、文化の交流を間近で見られて良かったです。
今回の研修で、ハワイのお寺をより間近で見て、毎週メンバーさんが本堂を掃除したり、大きな行事では積極的に準備をしたり食べ物を持ち寄ったり、1人1人が大切にしているんだと感じました。また、お寺の場所を貸して、太鼓やウクレレや合気道で使うなど地域のコミュニティの場所になっていて素敵だなと思いました。
ハワイの人たちがとても温かくてフレンドリーだったので、将来はハワイに住むのもいいなと思いました。

廣澤庸道 (高校2年)
この海外子弟研修会で一番印象的だったのは、現地の方々の温かさです。私は今回の研修で他に男性がいないということを聞いてとても不安でした。しかし、空港から出てすぐに現地のお寺の方に温かく出迎えていただき、当初抱えていた不安も大分軽くなりました。
また、お坊さん方だけでなく、ハワイの人々は車を運転中に道を譲ってもらったときなどに相手の運転手にハンドジェスチャーでお礼をしたり、お寺のメンバーの方々も日本から来た私たちに話しかけてくれたり、食べ物等の贈り物を用意して歓迎してもらい、人々の温かさに触れることができました。こういったハワイの方々の人柄の良さからも、日系人の方々のおかげで
ハワイの多くの寺院が残っているのだと知ることができました。
今回の研修はお寺やハワイの名所の歴史的背景を学んだり、普通の旅行では行かないような場所に連れて行ってもらったり、ハワイの人々の温かさに触れることができ、当初の不安も忘れてしまうほど楽しく、有意義な研修でした。もし、私が今後ハワイに行くようなことがあったら、観光だけではなく、今回お世話になった方やお寺にも行きたいです。
またこのような機会があれば、是非参加したいと思いました。

コナ大福寺での和太鼓レッスン


廣澤莉彩 (中学3年)
今回、私は幸運なことに海外子弟研修会に参加することができました。
初めての研修会に、とてもドキドキしていました。今回はハワイのオアフ島にある正法寺、ハワイ島にある大正寺、大福寺へ行きました。
1日目、私たちは正法寺の方たちと一緒にオアフ島をまわりました。車でさまざまな場所へつれていってくださいました。遊んだ後でしっかり海外と日本のお寺の違いを学ぶことができました。
一番決定的な違いはお檀家さんとのつき合い方です。ハワイでは「メンバーさん」と呼ばれていて、お寺ととてもかかわりが深かったです。日本では少ししか話さないイメージですが、ハワイでは共に行事を手伝い食事を持ちよって仲よくしていて交流を盛んに行っていました。初めて見る光景でした。大正寺や大福寺ではその中に混ざり、食事やウクレレ鑑賞、盆踊りをさせていただきましたが、ハワイの皆さんはとても優しく、フレンドリーでした。おかげで中に交じり、楽しく過ごすことができました。
もう1つの違いは本堂の形式です。
ハワイでは昔の戦争での出来事によってキリスト教が少しまじった本堂でした。そうしたことからもハワイのお寺について学ぶことができました。
2日目からは飛行機に乗りハワイ島へ行き、ヒロの大正寺に泊まり盆ダンスなどに参加しました。印象的なのは太鼓です。踊りながら太鼓を披露していてとてもカッコよかったです。またメンバーさんと一緒にお食事をしながら話をして、貴重な体験ができました。
コナの大福寺には「ミチ」というとてもかわいい犬がいます。人なつっこく会った瞬間から仲よくなれました。
とにかくかわいかったです。また、お寺で坐禅をしました。早起きは辛かったですが、少し目がさめた気がします。そして住職の慈光さんに車でいろいろな所につれていってもらい、さまざまなことをまた勉強しました。

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