【International】新型コロナウイルス感染症影響下における南アメリカ国際布教総監部管内の活動


まず、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた、国内外のすべての方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、罹患されている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

当総監部の所在するブラジル連邦共和国サンパウロ州では、3月24日に医療従事者や生活に必要不可欠なサービス・商品を提供している機関を除き、不要不急の経済活動を規制する政令「quarentenaクアレンテーナ」が発令されて以降、徐々に規制は緩和されてきており、経済活動も再開されつつありますが、8月22日現在も外出の自粛が要請されている状況です。

国際布教師が活動する各国の状況を見ますと、8月22日現在(WHO調べ)、ブラジル連邦共和国では感染者数約350万人、死亡者数約11万人、ペルー共和国では感染者数約56万人、死亡者数約2万7千人、アルゼンチン共和国では感染者数約32万人、死亡者数約7千人、コロンビア共和国では感染者数約51万人、死亡者数1万6千人、パラグアイ共和国では感染者数約1万人、死亡者数約200人と甚大な被害が出ており、未だ悲しみの連鎖は続いている状況にあります。

また本来であれば、このようなときこそ人々に寄り添う場である、寺院や教会といった宗教施設も、多くの方が集うということで規制の対象となり、管内寺院、禅センターでも従前のような対面での布教活動は制限することを余儀なくされました。

①オンライン禅講座の様子(天随禅寺 ソーザ孤圓師)

このような未曽有の状況下で、南アメリカ国際布教師全員参加のもと、オンラインミーティングを開催しました。各自の近況報告の後、この状況を如何にして歩んでいくか、お互いに情報・意見交換を行いました。概説しますと、各寺院、禅センターでは、基本的にオンラインでの坐禅会、法話、法要などを開催しており、積極的にSNSを活用するなど今後の運営の参考になる報告が多数あった一方、オンライオンライン禅講座の様子(天随禅寺 ソーザ孤圓師)ンでの布教に慣れておらず、困難であるという声も聞こえました。また、対面での布教活動の制限により、収入の減少をあげる寺院・禅センターがほとんどで、運営に苦心惨憺なされている様子でありました。

会議中、あるひとりの国際布教師より「私たちが認識しなければならないことは、大きな変化が起こっているということです。しかしこの大きな変化もいずれは定着し、私たちはそれに応じた布教のあり方を模索していかなければなりません。」という発言がございました。この状況に悲観することなく、如何にして新しい生活様式下で法を伝えていき、南米の方々に安心を得ていただくか、ということです。それでは、当総監部管内に於ける現在の活動の一端をご紹介いたします。

サンパウロ市の天随禅寺(ソーザ孤圓国際布教師)では、活動の内容は曜日、時間帯によって異なりますが、オンラインでの坐禅会や法話を行っています。SNS「インスタグラム」でのライブ配信の参加者は、多いときでは4千人で、これらの活動にはすべて無料で参加できます。また寺院の運営のため、禅に関する有料のオンライン講座を開設し、通常よりも講座の参加費を大幅に安くした結果、参加者が増え、かつ禅の教えを遠くに住んでいる方にも届けられるようになっております。(写真①)

②オンライン盂蘭盆施食会(禅源寺)

多くの日系人が住んでいるモジダスクルーゼス市の禅源寺では、例年500基近くの提灯を飾り、盂蘭盆施食会を行っておりますが、今年は参加人数を制限し、ソーシャルディスタンスを確保するなどの対策を講じた上で開催されました。さらに法要をライブ中継し、お寺に来られない方は、自宅からご先祖さまへの供養を行いました。(写真②)

またペルー共和国リマ市にある瑞鳳寺(大城慈仙国際布教師)では、ペルー日系人協会らと合同で事前に動画を撮影、編集し、広島・長崎原爆物故者追悼法要をオンラインで開催いたしました。(写真③)

③オンライン広島・長崎原爆物故者追悼法要(瑞鳳寺 大城慈仙師)

このような日系寺院のオンラインでの活動は、新規メンバーの獲得以上に、既存メンバーとのつながりを、世代が変わっても続けていけるような工夫ともいえ、あまり寺院に足を運ぶ機会のなかったメンバーの家族の若い方にも興味を持っていただく絶好の機会にもなりました。

ブラジル南部の都市、フロリアナポリス市にある大泉寺(シャレグレ玄祥国際布教師)では、以前より、既存の寺院の他に、「バーチャル大泉寺」というオンライン寺院を運営し、寺院や禅センターが近くに無い方でも、一仏両祖のみ教えに触れられるよう活動がなされております。無料プログラムでも色々な情報にアクセスでき、かつオンラインでの講義にも参加することができます。また有料のプログラムを申し込むことで、すべての情報にアクセスできるようになります。この結果、禅のグループがなかった都市で、オンラインで定期的に一緒に坐禅を行うグループが始まりました。このようなつながりが生まれるのもオンラインでの布教活動ならではであります。(写真④)

④オンラインでの法話(大泉寺 シャレグレ玄祥師)

当総監部においては、SNSによる情報発信の他、この9月より国際布教師が総監部のSNSを使い、おりおりの行事毎にライブで法話と坐禅を行う企画を開催いたします。国際布教師は、普段は自身のグループの中でのオンラインでの活動が基本となっておりますが、講師も視聴者も普段とは異なる環境で、南アメリカにおける曹洞宗としてのつながりを感じていただく機会となりたいと考えております。

さて、南米における感染状況は未だ予断を許さない状況ではあります。ですが、外出規制・自粛要請が解除されて外出や移動の自由が可能となり、対面での活動を再開することになっても、遠方にいるため参加できない方や何かしらの理由で参加できない方にとって、オンラインにおける聞法の場を提供し続け、曹洞宗の教えに触れてもらう機会を逃さないようにすることは重要であると考えています。

その上で、寺院・禅センターでの本来の活動は、僧侶とメンバーが坐禅や法要などを通じて共に同じ時間を過ごし、双方が五感で体感するものであるとも言えます。参加人数の制限、マスクの着用、会場の換気、フィジカルディスタンスの確保、こまめな消毒などといった新しい生活様式を前提とした上で、オンラインでの体験以上のものを体感していただけるよう、管内寺院・禅センターと連携し、本格的な活動再開に向けて最善を尽くす次第です。

おわりに、全世界における新型コロナウイルス感染症の拡大が一日も早く収束することを祈念し、報告といたします。

南アメリカ国際布教総監部 記

 

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