【人権フォーラム】コロナ禍での人権学習の現在


開会の挨拶をする小林昌道監院

8月26日から27日にかけて、令和3年度大本山永平寺集中人権学習が開催されました。昨年度は、感染症対策の観点から外部講師の招請を取り止め、山内役寮を講師として開催されていました。

今年度は感染症対策をした上で、外部講師を招きつつも日程を短縮し、9月16日に修行される「曹洞宗被差別戒名物故者追善供養法会」の意義と人権に関する学びに、文字通り「集中」した人権学習が行われました。

被差別戒名物故者への追善法要は、大本山永平寺では1981(昭和56)年から、大本山總持寺では1984(昭和59)年から、それぞれ大本山主催で厳修されてきました。大本山永平寺では「曹洞宗被差別戒名物故者追善供養法会」、大本山總持寺では「被差別戒名物故者諸精霊追善法要」と名前こそ多少の違いがありますが、本来仏弟子として授けられるべき戒名が差別の道具として使われ、死後にまでわたる差別に宗門が加担してきたことへの懺悔と、今後こうした差別を二度と繰り返さないという思いは共通です。

集中人権学習で行われた3つの講義の概略を紹介します。

 

講義一 「差別戒名」について考える

この講義では「差別戒名」について人権擁護推進本部より解説を行ないました。受講者である安居僧は自身が戒を授かった経験はあっても、他者に戒名を授けるという経験はまだありません。まず戒名そのものの意味や構造から学んでいただき、続いて「差別戒名」墓石や「差別戒名」過去帳の事例を紹介しました。

また「差別戒名」授与の指南書と考えられる『禅門小僧訓』の存在、これまでの「差別戒名」改正の取り組みについてお伝えし、僧侶としてこれから戒名を授与する場面になったとき、どんな心構えが必要なのか、被差別戒名物故者追善供養法会の開催を前に受講者それぞれに考えていただきました。

 

講義二 部落差別の現実

人権センターながの事務局長 高橋典男氏

第二講ではNPO法人人権センターながの事務局長の高橋典男氏を講師に、現在も存在する部落差別問題について高橋氏が関わってきた多くの事例を紹介、お話しいただきました。

始めに長野市内で今も起こっている部落差別事件の記録映像を視聴し、続いて様々な差別を乗り越えようとする方々の事例を紹介いただきました。現場での活動に基くお話は身に迫るものがありました。

また部落差別を目的とした身元調査について「断るだけではどこか別の場所に行ってしまう。結局調査が為されてしまう。調査に来た人を家に上げてお話をして『それは差別です』と伝えて調査を止めてもらうことが大切だと思います」というお話には、師寮寺に帰れば多くの個人情報と関わることになる受講者も考えるところが多かったようです。

高橋氏は知ることの大切さ、当事者意識の大切さについてお話をされ「近年、部落差別問題について『知らない』『まだ有るの』という人もいます。それは『知らない』のではなくて、『知ろうとしてこなかった』ということではないでしょうか」とし、最後には「私自身も、ハンセン病差別にかかわる会議の中で元患者の方を指して『当事者のあなたから確固たる発言をして欲しい』と言いましたら、その方から『当事者は(差別をした)君たちだろう』と言われ、どきりとしました。それは、部落差別問題を語るときに私が言っていたことと同じことだったからです」と結ばれました。

 

講義三 視聴覚研修

最後の学習は人権啓発映像第十八作『過去帳と人権 ~情報管理の徹底を~』と第三作『宗教と部落差別問題Ⅲ「差別戒名」について考える』を視聴しました。宗門でこれまで起きた差別事件について学習するとともに、「差別戒名」や部落差別の実情などこれまでの講義で学んできたことの再確認ができる内容でした。

(これらの人権啓発映像は曹洞宗寺院専用サイトの「人権」の項目中人権啓発映像から視聴することができます)

 

講義が終わるたびに受講者は班に分かれて分散会を行い、意見や感想を交換し合いました。そして班ごとに出た意見や感想を全体会で発表し、受講者一人一人が今回の学習の感想をレポートにまとめ、今年度の集中人権学習は終了しました。

人権擁護推進本部記

 

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