【International】北アメリカ国際布教総監部管内特派布教巡回・梅花流特派師範講習報告

2024.05.07

2023年9月に池田好斉特派布教師による特派布教巡回(以下、特派布教)を西海岸と東海岸の寺院・禅センター9教場で、2024年2月に大熊真龍特派師範による梅花流特派師範講習(以下、梅花特派)をロサンゼルスの両大本山北米別院禅宗寺とサンフランシスコの桑港寺、そしてスタンフォード大学を会場に実施いたしました。

いずれも2020年の新型コロナウイルス感染症感染拡大以降、感染予防や渡航制限の観点から対面式では行われず、4年ぶりの開催となりました。池田布教師と大熊師範には対面式の代替案として、一昨年そして昨年と2年連続でZoomでのオンライン法話・オンライン講習を行っていただいていました。オンラインのメリットもあるものの、やはり対面での実施に勝るものはなく、参加者にとっては「念願の対面」となりました。

以下、池田布教師と大熊師範より巡回を終えた所感を寄せていただきました。 

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特派布教師 山形県見龍寺 池田好斉 

日本を発ってから帰国までアメリカ本土国内を11日間、9教場を巡らせていただきました。ハードな行程でありましたが、その過酷さを感じさせない様々なご配慮をいただき実に有意義に過ごさせていただきました。それは総監部や国際布教師の方のおかげはもちろんのこと、それぞれの教場のご住職やお話を聞いていただいたメンバーの方の誠意と熱心さに励まされたものが大きかったと思います。聞法者の多くは常に坐禅に親しみ、一仏両祖の教えを学ぶ機会に多く触れている方々でありました。

この度は直接英語でお話をさせていただきましたが、私自身の英語力では、そのまま法話を務めるには到底及ばず、英語の堪能な国際布教師の方に事前に確認していただき、様々なアドバイスをいただいた原稿をもとになんとか行ったものです。私以上にその方のご苦労は大変なものであったと思います。果たして充分な理解を得ていただいたかは不安が残りますが、今後の海外特派布教の一つの選択肢として考えることができるのではと思いました。従来の通訳を通した法話の形式の重々しさ、語学の堪能な方が与える理解や安心感、またこの度の私の行ったような形の海外布教の可能性、それぞれ布教師の能力や特性を活かした海外布教を柔軟に行っていくことが今後必要であろうと思います。

北アメリカに曹洞禅が伝わっておよそ一世紀余り、確実にその教えは根付き、育まれ実を結んでいると思います。そして今、禅の教えを学ぶその純粋な姿勢とその実践は、私は日本を凌ぐものがあると感じています。

両祖さま、そして脈々と受け継いでこられた仏祖の願いが海を越えて実践されていることに感動を覚えると同時に、私自身どこか、日本が本流でそれを伝える役割が海外布教であるが如く、思い違いをしていたのではと思いました。これからの布教のあり方として、日本が海外に布教するという一方向的な考え方ではなく、海外布教という機会を通して交流を深め、学び合い、その求道の志を高めあうことが重要であると感じました。

世界中で繋がるサンガの和合の功徳力はこれからも無限の可能性を秘めていると思います。

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梅花流特派師範 北海道天童寺 大熊真龍 

梅花流特派師範として1週間ほどカリフォルニア州に滞在し、桑港寺、スタンフォード大学、禅宗寺で講習、そしてグリーンガルチファーム・蒼龍寺、禅センター・オブ・ロサンゼルス・仏真寺も訪問させていただきました。

道中、様々な出会いがあり、また、見聞するものの多くが新鮮で感銘を受けることが多く、一言で言い表すのは難しいのですが、日本で想像していた以上にアメリカには禅が根付いているというのが感想です。

禅センターでは摂心と日中諷経に参加させていただきましたが、如法綿密に一つひとつの行持が進められているのを見て感銘を受けました。そこで使われている法具、仏具はどれも年季の入った古いものでしたが、とても大事に扱われていました。もっと良いものを使っていただければと感じました。国際センターは「とどけプロジェクト」という、日本国内の御寺院さまから使われない仏具や法衣を集め、海外にとどける寄贈事業を行っているそうです。私も帰国したら早速協力したいと思った次第です。

この度の講習は、限られた時間の中でできるだけ多くのことを効果的にお伝えするべく、事前にパソコンのパワーポイントなどで資料を作成し、歌詞や法話のイメージを持ってもらえるような図や写真もふんだんに盛り込みました。

その甲斐あってか、拙僧のつたない英語でもなんとか聞法者に伝わったような実感を得ました。現地では、日本から来た宗侶より少しでも何かを学びたいという熱意や雰囲気が感じられます。勿論、通訳を介しての布教教化は可能ですが、時間が限られる中、できるだけ有効に伝えるべく、片言でも良いから現地の言葉を習得し、自分の言葉でなんとか伝えていくことが大事であると感じました。

日本では、生まれながらに仏壇があり先祖を敬う様々な慣習、行持があるおかげで、我々は知らず知らずのうちに先祖や他者を敬う心が涵養されていると思います。反面、それが当たり前すぎて、その大切さに気づかず何気なく日常を過ごしていることもあるでしょう。日本の慣習や宗門の伝統は、時に外国の方には新鮮に、また、敬意を持って受け入れられることが多いことに気づきました。我々は、日本の伝統文化に誇りを持ってそれを深く学び、後世に相承していくことが大切だと改めて認識することができました。

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この度の両事業は従前と大きく異なる点として、ご本人自ら英語で法話・講習をしていただきました。これまでは、通訳を介しての実施でしたが、池田布教師と大熊師範はともに海外留学の経験があり語学力が高く、英語で法話・講習、そして質疑応答もいたしました。言わずもがな、布教師・師範が参加者と通訳を介さずに直接交流できることは有効です。

毎年語学力の高い布教師・師範にお越しただくことは現実的ではないものの、宗侶の中にも語学力が高く、日本国外に常住する国際布教師とは異なるアプローチで、国際布教に貢献いただける方が存在すること改めて認識することができました。

こと北アメリカだけに限らず他総監部でも言えることですが、特派布教・梅花特派の需要は僧俗問わずあります。教場として手を上げてくださる管内の禅センターも多数ありますが、広大な管轄地域のため、日程と予算の関係からすべての場所で実施することはできないことが残念ですが、参加者は新たな知識、気づきを得ることができます。何より、遠路お越しいただけることで日本との繋がりを痛感し、さらなる帰属意識が生まれ、布教教化として大いに意義のある事業と言えるでしょう。

教師と師範にとっては、日本との時差や異なる風土・環境、そして今般は英語での原稿や資料を特別に作成するなど、日本国内の巡回と比較すると負担も大きいと思慮いたします。

池田好斉特派布教師ならびに大熊真龍特派師範、そしてこの度の対面式の実施に関わられた関係各所に御礼申し上げ、報告とさせていただきます。

北アメリカ国際布教総監部 記