【International】令和7年度 南アメリカ特派布教巡回報告

2025.12.22

先般、特派布教師として、南アメリカ総監部管内への特派布教巡回に9月18日から10月1日の日程で渡航した。同管内への派遣は、令和6年度は実施されていないものの、オンラインによる告諭の敷衍を私がポルトガル語とスペイン語の通訳を介する形で2回担当させていただいていた。

今回の行程は、往復とも羽田空港を発着し、ニューヨークを経由してブラジル連邦共和国サンパウロのグアルーリョス国際空港発着の行程である。経由地のジョン・F・ケネディ国際空港では、再び荷物を預け直して出入国審査があったが、電子渡航認証システム(ESTA)によりスムーズに進んだ。只、特派での巡回であることから、万が一に備えて、布教教化に関する告諭と袈裟・法衣など必要最小限度のものは手荷物として機内に持ち込んだ。片道の飛行時間は合わせて約24時間で、乗り継ぎには数時間あった。教場はブラジル国内の7教場、パラグアイ国内の1教場だった。髙階瓏仙禅師が管長としてブラジルに巡錫なされて今年で70年となる。その折りに滞在された檀信徒のお宅などにもうかがい棚経をお勤めした。禅師がご揮毫なされた「心月清照」という昭和30年10月来伯の書は今もなお大切に飾られていた。以下、歴訪した順に記す。

9月19日サンパウロ到着後、邦字新聞社のブラジル日報へ訪問した。その翌日には巡回地と日時が同紙に掲載された。

20日は両大本山南米別院仏心寺にて夕刻より参加者と坐禅し、その後に法話会。毎回参禅会には、遠方より参加されている方が多く、禅について高い関心を示されていた。

両大本山南米別院仏心寺での法話

21日は禅源寺で彼岸会総回向後の法話会。日系の方々が多く参詣された。同寺は檀信徒役員が中心となり境内整備事業が進められていた。

22日はサンパウロのヴィラコッポス空港からアラサトゥバ空港へ移動し、フォルモーザの日系人会館で合同供養後の法話会。移住から90年以上経ち日本語を話す方は少なくなっていた。参加者はそれぞれに料理を持ち寄って歓待してくださった。

フォルモーザの日系人会館

23日は数軒で棚経をお勤めし、その後、専用車で約六時間かけてサンパウロへ移動した。

24日はサンパウロのコンゴーニャス空港からパラナ州のフォス・ド・イグアス国際空港へ移動し、専用車でパラグアイに入国した。入国審査では黄熱病予防接種の国際証明書を提示した。

25日は拓恩寺で彼岸会法要後の法話会だった。当地は日系の方々が多く、日本語や日本文化の継承がされていた。その後、専用車で再びブラジルに入国し、フォス・ド・イグアス国際空港からコンゴーニャス空港に移動した。

26日は大観寺で坐禅後の法話会だった。参加者は現地の参禅者であり曹洞禅に関心が高かった。法話後、対話の時間を設けて学びを深めた。

大観寺での法話

27日は円光寺で参加者と坐禅してからの法話会だった。その後、コンゴーニャス空港からパラナ州のロンドリーナ空港へ移動し、ローランジャ佛心寺に到着する。夜には境内で日本の盆踊りに似た入仏祭が町を挙げて盛大に行われており日系の人々と現地の人々の日頃の親密さがうかがえた。

28日はローランジャ佛心寺で彼岸会・65周年慶讃法要をお勤めして、法話会を行う。日系以外の方々も聞法されていた。その後、ロンドリーナ空港からコンゴーニャス空港へ移動した。

ローランジャ佛心寺で

29日にはグアルーリョス国際空港を立ち、日本への帰国の途についた。

 

まとめにかえて

今回の特派布教巡回では、ポルトガル語に翻訳いただいた布教教化に関する告諭を聞法者に配布して敷衍に努めた。視覚的にも理解しやすいように、四摂法の解説用の絵図や写真資料も使用した。法話の内容は、日系の方々向けと現地の方々向けで展開するよう工夫した。

日系の方々は先祖が移民として現地で生きてこられたことに対する追慕の念が篤いと思われ、現地の方々は曹洞禅に対する関心が高いと思われた。いずれの教場でも熱心に聞法されるお姿があった。現地の方々の中にはご自身で把針された黒色の絡子を着けておられる方も多く散見された。一言一句に聞き入る様子を拝見し、求道心の深さを感じ我が胸襟を正す思いであった。

国内の教場では、智慧・慈悲・縁起などの仏教語は、少しの説明でご理解いただけたと感じていた。しかし海外では通訳の方が苦慮しながらも正しくお伝えくださっている様子を拝見して、母国語や文化などの違いで伝えることの難しさを体感した。無意識のうちに日本文化の底支えがあったことに気付いた。

反省として、仏教語の意味することを再確認し、自分の中に落とし込み、更に分かり易く伝えるように言葉を立ち上げていくことが必要だと感じた。また通訳を介すので原稿はできるだけ短い文で構成する工夫も必要であった。

南アメリカ総監部の清野暢邦総監、田原良樹書記には事前準備に余念なくしていただき、巡回中は何かとご高配を賜った。両師をはじめ、お世話くださった関係各位に感謝を申し上げ報告としたい。

 合掌

宮城県廣渕寺 住職 奥野昭典