梅花流詠讃歌【梅花照星に似たり】⑯

2026.04.01

ここ十数年来、1月末から2月初めの時期に、山形県の友人から桜が届きます。この桜は啓翁桜けいおうざくらといい、主に山形県で栽培されており、細い枝に薄ピンク色の小さい花を咲かせるのが特徴です。

ちょうど時期的に涅槃会ねはんえと重なるため、毎年、涅槃図の両脇に一対いっついで飾っています。

桜は春を象徴する花ですが、当寺でも啓翁桜の見頃が過ぎると、続いて墓地回りの河津桜かわづざくらが開花し、濃いピンク色と並んで立つレモンの果実の黄色とがコントラストを構成し、鮮やかな春の景色を楽しむことができます。

4月になると桜だけでなく、あちこちでたくさんの花が咲き始めます。

「春は花 夏ほとゝぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり」という道元禅師の和歌は、それぞれの季節、時候において端的に「時」を表現したもので、その季節における真実の姿を詠ったものです。このうち、春という季節には、厳しい寒さを乗り越え段々と暖かさが増していく中で、木や草花が開花していく自然のありようを「春は花」と表現したものといえるでしょう。

花供養御和讃はなくようごわさん」の一番は、仏・法・僧の三宝や亡き方々に対して、お花やお香、御明みあかしや飲食などをまごころ込めて捧げることを詠います。

ちりのちまたのかざりなる いろとりどりの花々はなばな
ささげまつらんみほとけ

この世の中を美しく飾る色とりどりの花々を捧げてみ仏を供養しましょう、ということです。

お寺の法要の場、あるいは普段のお仏壇へのお参りの際にはお花を供えますが、この曲ではまごころを込めてお花を供え、仏前を荘厳することが仏行としての供養であることを詠っています。

今月8日は釈尊降誕会、花まつりの日です。花御堂を色とりどりの花々で飾り、誕生仏に甘茶を濯ぎ、お釈迦さまの誕生をお祝いします。

この頃になると、当寺では本堂西側の窓越しにソメイヨシノを見ることができます。花言葉は「あなたに微笑む」。桜もお釈迦さまの誕生を祝福してくれているようです。

静岡県官長寺 住職 大田哲山