梅花流詠讃歌【梅花照星に似たり】⑲
「おはようございます。○○の家内です。実は昨晩○○が亡くなりました。生前は大変お世話になりました(中略)LINEにて失礼をお許しください」
昨年11月10日早朝のことでした。大学時代の学寮仲間のグループLINEの着信は、旧知の友の訃報だったのです。
彼とは入寮の時からのつきあいで、同じ石川県出身ということもあり、親しい間柄でした。修行のため大本山永平寺へ上山する際、もう一人の学友と三人で、実家である金沢のお寺から出発したことも思い出します。
彼の病のこと、治療の経過などについては前から知っており、完治がなかなか難しいように聞いてはいたのですが、同じ道を歩んできた友を失ったことは、肉親を失ったことに等しいほどの深い嘆きを覚えました。
「新亡精霊供養御和讃」は、亡くなって間もない人への深い想いが綴られ、曲譜はかつての「盂蘭盆供養御和讃」の旋律を用いた曲です。二番では亡き人の回想や追慕の念いが詠われています。
揺れる灯明あの笑顔 あなたに逢えたよろこびと
深い絆に結ばれた 煌く慧命忘れ得ん
弔いの場や、その後の供養の場で点されるローソクの灯がかすかに揺らぐと、そこに亡き人がいるように感じられます。その人に出会えたよろこび、縁の不思議を感じ、お互いが深い絆で結ばれていたことを思う時、追慕の念がいっそう深まります。亡き人の生前の生きざまをお手本として生きていくことを受け継いでいきます、という誓いを強く表現している歌詞です。
重なり合うご縁でお互いが同じ道を歩むこととなった彼は、自分自身の信念を貫く人でした。遺された家族にとって、その生き方を受け継いでいくことが、亡き人への供養となり、報恩になることと思います。
今年も7月、8月と盂蘭盆会の時期を迎えます。私にとっても今年の盂蘭盆会は、亡き友と出会い、彼の生き方に学ぶ機会となることでしょう。
静岡県官長寺 住職 大田哲山



