梅花流詠讃歌【梅花照星に似たり】⑳

2026.08.01

7月、8月と続いた盂蘭盆会の行事がひと区切りとなる8月16日を迎えると私はホッとします。

年々過酷になる暑さの中での施食会や棚経がひと段落することは、私にとってしばしの安らぎのひとときといえます。

20日以降には、お薬師さまやお地蔵さまの供養があるのですが、ここではお地蔵さまの供養についてお話しましょう。

お寺のすぐ近くに地蔵堂があります。お堂には三願叶地蔵尊さんがんかのうじぞうそんが本尊として祀られており、所有家の屋号から長兵衛ちょうべい地蔵の名で親しまれています。

かつて昭和の歌謡曲に「4つのお願い」という曲がありましたが、このお地蔵さまは名前の通り、3つのお願いまで叶えてくれるとされ、特に病気平癒へいゆ海難除かいなんよけなどにご利益りやくがあるといわれています。

毎年、月おくれ地蔵盆に当たる8月24日の夕方からお勤めをしていますが、昨今の猛暑を考慮して、今年から午前の早い時間に変更することにしました。

供養の中で、読経の後に「地蔵菩薩御和讃じぞうぼさつごわさん」をお唱えします。

この今日きょうくるしみも 我が身のあすの悲しみも
代受だいじゅのちかいふかければ たのむこころにかげはなし 

3番の歌詞はお地蔵さまの誓願を主題としています。それは衆生のあらゆる苦しみを代受する、つまりお地蔵さまが身代わりになって引き受けようというもので、「代受苦」の誓願といいます。 

私たちには現在の苦しみもあり、これから出逢うかも知れない悲しみもあるでしょう。しかし「代受苦」という誓願をかかげられたお地蔵さまであればこそ、その誓願をたのむ私たちの心には何の疑いも不安もありません、という思いを表現した歌詞です。 

三願叶地蔵尊を祀るお堂の中には、お地蔵さまに託した願いが書かれた祈願ののぼりが数多くつるされています。その一枚一枚からは、祈願者がお地蔵さまの誓願に身を委ね、ひたむきに拝む姿が目に浮かんできます。 

ただ、私たちは自分の苦しみ悲しみを代わって受けてもらうことを願うばかりではなく、自分自身が人びとの苦しみや悲しみを共有できるように努める生き方を、「地蔵菩薩御和讃」から学びたいものです。

静岡県官長寺 住職 大田哲山