【International】「ハワイの曹洞宗」紹介動画

2016.05.10

ki1605道元禅師さまから瑩山禅師さま、そして多くの宗侶へと脈々と受け継がれて来た曹洞宗の正法と伝統が、日本から海を越え、世界中で曹洞禅として知られてきております。その世界に広がる曹洞宗の中から今回紹介させていただくのは「ハワイの曹洞宗」とその紹介動画です。 

ハワイは常夏の楽園として世界中の人に知られ、多くの観光客に愛されています。日本人なら誰しも、碧く透き通った海、青く澄んだ空、そしてワイキキビーチを代表とする白い砂浜などが想像できると思います。

ki1605 (5)しかし、その美しい風景からは、想像し難い歴史がその背景にはあるのです。100年以上前、アジア諸国や中南米から入植した契約労働の移民たちの苦労と努力によって築き上げられた歴史の上に今のハワイがあります。 

明治18(1885)年日布※移民条約が結ばれ、新天地での成功を夢見る大勢の日本人が、新たな人生の幕開けを期待してハワイに渡航しました。

しかし、彼らを待ち構えていたのは、贅沢や裕福な生活ではなく、過酷な重労働でした。当時のサトウキビ畑の契約労働は月15ドル(女性はその半分)。身を焦がす様な照り付ける太陽の下での労働を強いられ、休む暇なく心身共に苦しみに耐える毎日でした。

そんな中、過酷な生活を送る日系移民の慰問のため、明治36(1903)年に曹洞宗僧侶の河原仙英師と管良雲師が渡航しました。

ki1605 (4)この両師はハワイの曹洞宗の歴史において礎であり、日系移民が生活を送るうえで欠かせない存在でした。ほとんどの移民は日中、屋外に出て働いていたため、法話は夜間に皆が集う場所で行われました。それにより曹洞宗の教えが流布し、大勢の移民の信頼を得たのです。仏法布教のみならず、身の上相談に耳を傾けることも多くなり、日系移民にとって大きな心の支えとなっていきました。

その様な移民開拓時代を切り抜けてきた日系移民と曹洞宗は、互いになくてはならない関係を築いていったのです。いつしかお寺は日系コミュニティの中心となり、仏教を学ぶ場でありながら心が休まる場となっていきました。

また、開拓布教を行った宗侶たち自身も移民であるため、様々な努力と取り組みを行いました。その一例として挙げられるのは、西洋の文化を日本仏教に取り入れたことです。それによってハワイの人々にも仏教の信仰や存在の意義が認められ、より広く深く曹洞宗の教義が根付いていったのです。

ki1605 (2)この様な歴史を積み重ねたハワイの曹洞宗は、今年で113年目を迎えました。多くの開教師・国際布教師が日本から渡航し、さらには現地で育った日系人の中から布教師となった者もあり、現在では曹洞宗の教義がハワイの日常言語である英語を用いて伝えられています。

「ハワイの曹洞宗」は、特殊な環境に対応していく中で、多彩な進化を遂げてきました。檀信徒と「ともに歩む」精神による地道な活動により、ハワイの曹洞宗は現在まで成長してきたのです。

ki1605 (3)この度の動画では、100年以上にわたる歴史を振り返りながら、世代交代の中で起こる時代の変化にどう対応してきたか、そしてこれからどのように次の時代に向けて舵を切って行くかを描き、ハワイのコミュニティとともに成長し続けるハワイの曹洞宗を紹介します。

動画は曹洞禅ネット(または、動画共有サイト・You Tube にて「曹洞宗 ハワイ」と検索)で公開されておりますので、是非とも檀信徒の皆さまとともにご視聴いただければ幸いです。 最後に、今回の撮影にあたり、インタビューに答えていただき、快く出演に承諾してくれた多くのハワイの皆さまに感謝いたします。また、熱い思いで撮影とディレクションをしてくださった佐藤史子さん率いる現地撮影班や日本の編集スタッフの皆さまに心より御礼を申し上げます。

(ハワイ国際布教総監部記)

曹洞宗の国際布教について