【International】ヨーロッパ国際布教総監部管内禅道尼苑授戒会報告

2016.08.18

6月7日から12日にかけてフランス共和国特別寺院禅道尼苑において、大本山永平寺副貫首・北海道中央寺住職南澤道人師を戒師にお迎えし、戒弟144名が集い、授戒会が修行された。静岡県林叟院住職鈴木包一師が教授師、兵庫県海久寺住職中村典篤師が引請師・直壇長を務められた。

この授戒会は、弟子丸泰仙初代ヨーロッパ総監が設立された国際禅協会が主催となり、弟子丸師が開創されたフランス中央部ロワール川のほとりの禅道尼苑が会場となった。

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説戒師 奈良康明師

日本からは随喜僧26名が来仏し、禅道尼苑にはヨーロッパからの随喜僧侶のほか、直歳寮・典座寮配役の現地参禅者がスタッフとして多数詰めかけ、戒弟も含め参集したのは総勢で約300名弱となった。直前までフランスでは長雨が続き、天候が危ぶまれたが、初日を迎えてみると奇跡のように空は晴れ渡っていた。 この授戒会はヨーロッパの曹洞宗国際布教の歴史上初めての試みという点で特筆すべき出来事であった。御垂示や直壇口宣、法要解説は日本語から英語とフランス語に通訳され、戒弟には英語とフランス語で書かれた差定と注意事項、用語解説、読誦経典などが掲載された冊子が配布された。

戒弟の多くが坐禅に長年親しんでいるヨーロッパの禅道場の僧侶か参禅者であったということは、今回の授戒会の大きな特徴であり、日程全般にわたってその真摯な修行の姿が見られた。戒弟のほとんどが各法要で読誦される日本語の経典をすでに習熟しており、144名の戒弟の読経が本堂全体に響き渡るのは荘厳な光景であった。

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弟子丸泰仙初代総監供養

説戒師は大本山永平寺西堂奈良康明師が務められ、流暢な英語で説戒をなされた。限られた時間であったにも関わらず、儀礼の意味から説き起こされ、戒の歴史、禅と戒の関係、十六条戒の守り方など、懇切丁寧にお話をされ、戒弟も熱心に聴き入っていた。質疑応答の時間も設けられ、戒弟からの質問に丁寧に応答されていた。

諸行持は日欧双方の随喜僧が配役について執り行われた。建物の制約などは準備にあたったヨーロッパの僧侶によりできる限り克服され、日本と同じように行持を行う体制が整えられていた。また薬石罷には必ず法要の習儀が行われ、日本からの僧侶がヨーロッパの僧侶に鳴らしものや進退について説明し、ヨーロッパの僧侶も熱心に学びながら、日欧の交流を深めることができた。

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乞暇謝拝

朝昼晩の戒弟飯台には、禅道尼苑の典座寮でヨーロッパの僧侶により心をこめて調理された野菜を中心とする料理が卓上に並んだ。戒弟は日本語で行鉢念誦を読み、心静かにありがたく食事をいただいた。飯台疏は日本語で読まれたが、英語・フランス語で解説も加えられ、ヨーロッパの戒弟にも理解できるよう配慮がなされた。

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完戒上堂

 

 

戒会中には禅道尼苑開山・弟子丸泰仙初代ヨーロッパ総監の供養法要が営まれ、戒弟も開山塔を墓参し、報恩の香を焚いた。

10日には懺悔道場が行われ、戒弟一人一人が日ごろの過ちを懺悔し、三師によって懺悔帳が焼却された。道場が終わった後には感激のあまり涙を流す戒弟の姿も見られた。

11日には教授道場・正授道場が行われた。戒弟一同は登壇し、戒師南澤副貫首より血脈を授かり、お釈迦さまから数えて88代目の仏弟子となるご縁を結ばれた。

12日の完戒上堂では、すべての問答は日本語・英語・フランス語に通訳され、大開静にて三師は会場を後にされた。戒弟は日欧の僧侶との別れを惜しみつつ、この仏縁に出会うことのできた喜びを噛みしめていた。

(ヨーロッパ国際布教総監部記)

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