【International】英語翻訳版『伝光録』 出版記念シンポジウム開催報告

2018.01.11
釜田隆文宗務総長

2017年11月27日、曹洞宗檀信徒会館三階において、曹洞宗国際センター創設20周年、並びに英語翻訳版『伝光録』出版を記念し、「宗典翻訳事業の意味を問う」と題したシンポジウムが開催されました。

午後1時、田文宗務総長による開会挨拶により、シンポジウムは幕を開けました。第1部、藤田一照曹洞宗国際センター所長による講演では、明治36年にハワイと南アメリカから始まり、その後、北アメリカ、ヨーロッパと展開されていった曹洞宗の国際布教の歴史について、100枚を超えるスライドを用いて紹介されました。
第2部のパネルディスカッションでは、曹洞宗宗典経典翻訳編集委員長の大谷哲夫師(曹洞宗総合研究センター所長)、英語翻訳版『伝光録』編集長のグリフィス・フォーク氏(サラ・ローレンス大学宗教学科教授)、初代曹洞宗国際センター所長の奥村正博師(北アメリカ国際布教師)、英訳大蔵経編集委員の渡辺章悟氏(東洋大学文学部東洋思想文化学科教授)、そして、浄土真宗聖典翻訳校閲委員の清基秀紀師(京都女子大学講師)の5名をパネリストに迎えました。

右上より大谷師、フォーク氏、奥村師、   右下より渡辺師、清基師、藤田師

それぞれが関わった翻訳事業について、その経緯や意義などについて、15分間の発表の後、藤田一照曹洞宗国際センター所長を進行役として、意見交換が行われました。パネルディスカッションでは、「翻訳作業において、特に気をつけた点、苦労した点」、「翻訳した宗典や経典が今後どのように活用されるのかについての展望」の2点について、それぞれ意見を述べるとともに、熱い議論が交わされました。
行事の最後に、「曹洞宗宗典経典翻訳事業」創設に携わった山本健善教化部長より、閉会挨拶として、宗典経典翻訳事業にかける思いや将来の展望が述べられ、100名を超す参加のもと、盛会裏に円成しました。

会場の様子

蘭の間においてシンポジウムが開催されている一方、菊の間においては、「世界に広がる曹洞宗」として、ハワイ・北アメリカ・南アメリカ・ヨーロッパの各国際布教総監部の歴史を紹介するパネルを展示し、また同会場に設置された大型モニターでは、平成27年度ハワイ国際布教総監部で制作の管内寺院の活動紹介動画を放映し、また桜の間では、平成28年度北アメリカ国際布教総監部で制作の「禅からZENへ」と題した北アメリカにおける曹洞禅の現況をまとめた動画を放映し、多くの参加者が休憩時間などを利用し視聴されていました。
閉会挨拶にもありましたが、このシンポジウムを通じ、宗典経典翻訳にまつわる困難や意義を皆さまにご理解いただくとともに、宗典経典翻訳事業の将来を指し示す、有意義な行事であったと確信しております。宗門の宗典経典翻訳事業が今後も継続され、世界中の多くの方々に一仏両祖のみ教えが浸透し、ともに歩みを進めることができるよう願っております。

 (曹洞宗国際センター記)

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