平成28年「禅をきく会」開催報告

2016.12.01
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搭袈裟の偈を読む修行僧

平成28年10月3日、曹洞宗宗務庁主催「禅をきく会」が東京都港区のメルパルクホールにおいて開催されました。

今回の「禅をきく会」は二部構成で、第一部は、「サウンド・オブ・禅」をテーマに、大本山總持寺の修行僧による「法悦~Sound of Zen~」、第二部では、曹洞宗国際センター所長・藤田一照老師を迎え、「禅のお話といす坐禅」と題して講演といす坐禅の体験が行われました。

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展示写真を鑑賞する来場者

また、会場内のロビーには「第2回曹洞禅フォトコンテスト」入賞作品が展示されました。第2回となる当コンテストには1,300点を超える応募があり、展示された受賞作品32点はいずれもレベルが高く、芸術の秋にふさわしく来場者の目を楽しませていました。

当日は、あいにくの小雨模様にもかかわらず、約五百人のご来場をいただきました。今年の「禅をきく会」は、例年とは趣向を変え、魅力的な“禅の響き”を体感していただくための演出がなされました。第一部は、僧堂で行われている朝起きてから夜寝るまでの、定められた日常の作法をはじめ、坐禅に打ち込む姿、読経する姿などの修行道場の様子をダイジェスト版で披露。「修行生活の行いそのものが仏につながる」という曹洞宗の教えを伝えるため、大本山總持寺の現役の修行僧約二十名が修行の姿を実演しました。

午後1時、薄暗い照明と静寂の中で舞台の幕が上がり、開会です。第一部の前半は、修行道場の“朝の音”を表現し、振鈴、洗面、暁天坐禅を順に実演します。

開会をつげる木版(もっぱん)が鳴ると、修行道場の朝をつげる「振鈴(しんれい)」を振る二人の僧侶が、後方から客席のあいだを走り抜けてステージ上に登場。作法に則って鈴を振り、偈文を唱えながら礼拝を行いました。続いて、一人の僧侶が、修行道場さながら洗面桶に一杯だけの水で「洗面」の作法を行じました。スクリーンには「洗面の偈」とその解説文が映し出されました。

次に、ステージ上では僧侶が横一列に並び、曹洞宗の根幹である「坐禅」を行じました。会場内には、眠りや迷いを払うための警策(きょうさく)を打つ凛とした音が大きく響きわたりました。太鼓と鐘で時刻を知らせる音が響いた後、やがて僧侶は作法にしたがって「搭袈裟の偈」を唱えてお袈裟を着けはじめました。スクリーンには「搭袈裟の偈」と解説文が映し出され、来場者はその内容を興味深そうに鑑賞していました。

僧堂の朝を演出した舞台が終わると、本日のナビゲーターである曹洞宗総合研究センター・宇野全智専任研究員と司会の三村成信さんが登場。二人は今回の法要ライブ「法悦~Sound of Zen~」について、出演者を交えながら解説しました。

はじめは、大本山總持寺で維那を務められている髙屋継仁老師が紹介されました。「維那」という役職は修行僧の指導を担当する役目で、ナビゲーターと共に修行道場の様子をインタビュー形式で解説。修行道場では、夏場の朝は3時半に起床すると説明すると、会場からは驚きの声があがりました。

その後、大本山總持寺の現役の若い修行僧二人がインタビューに答えました。一人は冒頭に振鈴を振った大山裕也さん、もう一人は洗面の実演をした増田知法さん。それぞれ真剣に修行に取り組む様子をお話しくださいました。

後半は、「禅の修行と祈りの音」と題して大般若転読が披露されました。

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転読する總持寺の修行僧

導師は、大本山總持寺副監院・山口正章老師が務められました。舞台では、導師を中央に、左右に総勢十人の修行僧が横並びで読経。読経中にはたくさんの経典が納められた箱を、修行僧が颯爽さっそうと配っていました。その経典を、居並ぶ修行者が次々と転読。法要が始まると来場者は、迫力のある太鼓の音と読経、ダイナミックな経典の転読に見入っていました。

来場者には、大本山總持寺で御祈祷された祈祷札が配布され、今回の記念としてお持ち帰りいただきました。

休憩を挟んで、第一部の最後として、梅花流特派師範の小田原市、岩泉寺住職・片岡修一師範により梅花流詠讃歌が披露されました。ステージ上で、修行僧が坐禅をする中、静まり返る会場に、坐禅の悟りの世界を表現するご詠歌「坐禅御詠歌」のお唱えが響きわたりました。その後、ナビゲーターと片岡師範により歌詞の分かりやすい解説をしていただきました。

来場者の方がたは、曹洞宗の教義やお経、所作の意味などを、“音”を通して身近に感じていただけたことでしょう。

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藤田老師によるいす坐禅指導

第二部に移り「禅のお話といす坐禅」と題して、曹洞宗国際センター所長・藤田一照老師よる講演といす坐禅の指導が行われました。

「禅」は、日常生活すべてが「禅」になっていくことが理想です。坐禅だけでなく「行住坐臥」のすべて、朝起きて顔を洗うことまでも修行であるという考えです。藤田老師はそのような考えに魅かれて禅の世界に飛び込んだという体験を語られました。その後、お釈迦様の生涯にもとづいて禅の意味を解説していただきました。藤田老師は講演を通じて坐禅を幅広い分野から解説され、聴衆は飽きることなく興味深く耳を傾けていました。

講演の後には、恒例の「いす坐禅」が行われました。藤田老師の指導のもと、参加者はしばし静かに自席でいす坐禅を行いました。

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閉会挨拶をする中村教化部長

最後には主催者を代表し、中村見自教化部長より挨拶がありました。

中村部長は、「今回の禅をきく会は、新たな試みとして“サウンド・オブ・禅”と題し、修行道場で行われる本物の修行の音(サウンド)を体感いただいた。初めて禅に触れる方も禅の素晴らしさを実感してほしい」と思いを語られました。また、松尾芭蕉の有名な俳句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」を紹介し、「来場者の皆さまが、禅の音を聞くことで心の静けさを感じ取っていただければ幸いです」と、閉会の挨拶を締めくくられました。

また、会場で平成28年熊本地震や東日本大震災等などの大規模災害で被災された方がたを支援する曹洞宗義援金の募金を呼びかけたところ、参加者より109,263円の義援金が寄せられました。ご協力ありがとうございました。

「禅をきく会」は世界に広がる「禅」に触れる機会として定着し、毎年多くの方にご来場いただいております。各管区でも定期的に開催されていますので、お近くの方はぜひ足をお運びください。