平成30年度梅花流全国奉詠大会開催報告


会場の「このはなアリーナ」

5月23日(水)・24日(木)の両日、平成30年度梅花流全国奉詠大会が静岡市にある草薙総合運動場体育館「このはなアリーナ」で開催された。

会場となった体育館は、旧体育館の老朽化にともない平成24年度から新たに建設が進められ、3年前に完成したばかりの広々とした空間を持つ本格的な施設である。名称にある「このはな」は富士山の御祭神「コノハナサクヤヒメ」に由来し、「個の花」と読んで個人が咲き誇れる場所という意味も込められている。まさに、講員の皆さま一人一人が、梅の花が咲き誇るがごとくに日頃の研鑚の成果を発表するに相応しい会場であった。

今大会は、2日間で約9,000人の参加者を集めた。梅花流の発祥の地である静岡県での開催ということで、県内のお仲間の熱意もあり、当初の予定を大幅に上回る参加をいただいた。

なお、本大会も「曹洞禅ネット」において、大会の様子を動画によりライブ配信し、会場に赴いていない梅花講員にもインターネットを通じて大会の模様が伝えられた。

 

入場・オープニング

大道芸でお出迎え

両日とも入場時は天候にめぐまれ、屋外では大道芸のパフォーマンスが参加者を迎えた。静岡市では、「大道芸ワールドカップin静岡」が毎年秋に市内で開催されており、大道芸の聖地としても有名であるという。

来場者の入場を待つ間、会場では梅花流発祥の地とされる静岡市洞慶院の紹介動画が映し出された。梅花流詠讃歌は昭和27年、道元禅師の700回大遠忌の折に誕生。大本山永平寺監院を務めた、当時の洞慶院住職であった丹羽仏庵老師が普及に努められた。様々な流派の御詠歌を検討し、柔らかい旋律を特徴とする梅花流を考案した経緯などが映像により紹介された。また会場には、今回特別に洞慶院よりお借りした梅花観音像が祀られており、会場を見守られた。

定刻となり、大会のはじまりを告げる大梵鐘が打ち出される中、今回のオープニングを務める尺八奏者ブルース・ヒューバナー氏の尺八の荘厳な音色が鳴り響いた。その後、清興も務める駒澤大学吹奏楽部の皆さんによる演奏があった。

続いて、副大会長である渡部卓史伝道部長が舞台上で「開会のことば」を述べると、吹奏楽部によるファンファーレが演奏され、開会に彩りを添えた。

渡部伝道部長は開会を宣言する中で、梅花流創立時に何度も会議や公聴会・講習会などを重ねられた関係者の努力があったことを述べ、丹羽老師をはじめ梅花流の設立に尽力いただいた方々に感謝の誠を捧げた。

献灯献花は、静岡県内寺院子弟12名の子どもたちにより行われた。宗門の将来を担う幼い子弟の皆さんが、ばいかくん・ばいかさんと一緒に登場し、舞台中央の一仏両祖の尊像に献灯献花を行った。可愛らしい少年僧たちが献灯献花を終えると、あたたかい拍手が贈られた。

最後に、挙唱司と会場の講員の皆さまにより「お誓い」が唱和された。挙唱司は、両日とも静岡県第一宗務所・洞慶院梅花講の講員の皆さまにお務めいただいた。

 

第1部 法要

大導師を務められる江川辰三管長猊下

開会式に移り、内局、地元宗議会議員、梅花講審議会委員、梅花流専門委員会委員らが両班に立ち、会場内の全員で「三宝御和讃」が奉詠される中、静岡県各宗務所所長と大会長釜田隆文宗務総長の先導のもと、大導師を務められる大会総裁で曹洞宗管長の江川辰三禅師が上殿された。

拈香法語、普同三拝、「般若心経」読経、「大聖釈迦牟尼如来讃仰御詠歌(高嶺)」奉詠、回向、普同三拝の次第で行われた。引き続いて、「熊本地震三回忌並びに自然災害物故者追悼法要」が、同じく江川辰三管長猊下のご導師により、拈香法語、「追善供養御和讃」奉詠、回向の次第で行われた。

近年は大規模災害が頻発し、2年前に発生した熊本地震では震度七の強い揺れにより尊い人命が奪われ、多くの曹洞宗寺院が被災した。本年度の梅花大会においては、3回忌にあたる熊本地震の被災物故者の供養と、自然災害により犠牲になったすべての物故者を追悼した。

その後、会場の参加者との「相見の拝」に続いて、江川管長猊下より御垂示があった。管長猊下は「詠讃歌の素晴らしさは、会場の講員の皆さまの感動に満ちた一体感に現われており、詠讃歌により普く自他を利する境涯を分かち合いたいと念願しています」と詠道の素晴らしさを讃えられ、祝意を示された。

 

第2部 式典

特派師範による梅花観音への奉詠

式典に移る前に、会場にお迎えした梅花観音像に「観世音菩薩第二番御詠歌(浄光)」が梅花流特派師範により奉詠された。会場に安置された梅花観音像の前には、梅花流特派師範約40名が整列し、厳かにお唱えが行われた。梅花観音像の前には丹羽仏庵老師の御尊影が安置され、大会中には大勢の講員がお参りをしたり、写真撮影を行っていた。

式典に入ると、釜田宗務総長が挨拶を述べた。挨拶の中で梅花流の流派名が両祖の愛しまれた梅の花に因んでいることを紹介し、春の兆しを示す梅の花は、新しい明るい一歩を迎える象徴であった、と当時の人々の思いを振り返った。そして、「日頃の成果を発揮し、会場を梅花流の心と花で埋め尽くしてほしい」と述べた。

続いて、開催地である静岡県第一宗務所の伊藤正見所長が挨拶された。

梅花流発祥の地ともいわれる静岡県では、日頃から梅花講が盛んに活動しており、待ち望まれていた全国大会である。伊藤所長は、富士山をはじめとする様々な観光資源がある静岡県の特色に触れ、今回の梅花大会が、平成5年に浜松アリーナで開催されて以来、25年ぶり、3度目の開催であることを紹介された。そして、「講員減少や高齢化が心配されている中、講活動が盛んな静岡県での開催は時宜を得た大会であり、檀信徒や講員の信仰を深めるのに寄与するものです」と、歓迎の言葉を述べられた。

 

第3部 代表登壇奉詠

机と椅子を使っての登壇奉詠

今大会の登壇奉詠は代表者が登壇し、その他の講員は自席でお唱えをする代表登壇で行われた。梅花流の将来を見据えた新たな試みとして、舞台上には登壇者全員分の椅子と机が用意されており、正座して唱える従来の奉詠ではなく、椅子に腰かけて奉詠した。

会場では事前に、椅子・机による奉詠方法と、自席でのお唱えの方法を紹介した動画がスクリーンで流された。この動画は大会開催前より曹洞宗公式サイト「曹洞禅ネット」で一般公開され、新たな試みの実施をスムーズに運営する工夫がなされた。

登壇に際しては、司会者が各地の梅花講のエピソードを紹介したり、全国の宗務所より寄せられた応援メッセージがスクリーンに映し出されたりし、会場の雰囲気を盛り上げていた。

両日、8組の登壇があり、100名の代表登壇者は作法に従い一糸乱れぬ奉詠を披露し、自席での奉詠者もステージ上の講員に合わせて厳かに奉詠を行った。

最終登壇は両日とも静岡県第一宗務所の梅花講員が「正行御詠歌(道環)」を奉詠した。地元の静岡県第一宗務所からは、両日とも800人を超える参加者があり、県内の梅花講員の層の厚さが感じられた。

登壇奉詠が終わると、河村松雄総務部長の呼びかけにより、曹洞宗義援金の勧募が行われた。

今年は4月9日、島根県西部を震源とする最大震度五強を観測する地震が発生し、宗門寺院や檀信徒も被害を受けた。近年相次いで発生する自然災害だが、東海地方では将来に南海トラフ巨大地震の発生が心配されおり、不安は絶えない。被災された方々が平穏な日々を迎えられることを願って、2日間で合計3,977,205円という多額の浄財を参加者から賜った。

 

第4部 清興

駒澤大学吹奏楽部によるマーチングのステージ

今年の清興では、駒澤大学吹奏楽部の皆さんによる演奏が披露された。

約30名のメンバーは、キレのある動きで隊形を作りながら迫力のある演奏を行う「メンツ」と、旗を振ってステージを彩る「カラーガード」で構成された。ポップスからスタンダードな曲まで幅広く選曲され、また梅花流詠讃歌から「まごころに生きる」が演奏され、参加者を楽しませた。フィナーレには、メンバーがステージから降りて会場中を巡り、参加者の手拍子に見送られながら演奏を終えた。

駒澤大学吹奏楽部は創部より56年を迎え、全日本吹奏楽コンクールにおいて通算22回の出場を果たし、うち20回も金賞を受賞している、吹奏楽の名門でもある。「常に誠実で つつましく そして情熱をもって」という部訓を掲げ、心が伝わる音楽を目指して研鑚している。

 

第5部 閉会式

閉会式を迎えると、参加者全員が自席で心静かに椅子坐禅をする中、詠讃師が「坐禅御詠歌(浄心)」を独詠し、広い会場はひとときの静寂に包まれた。

次に、渡部伝道部長より閉会の言葉が述べられた。登壇奉詠の素晴らしいお唱えを称賛し、駒澤大学吹奏楽部の清興の演奏に謝意が示された。

にこやかに帰路につく講員の皆さん

続いて、渡部伝道部長の合図でステージでは映像が流れ、次回の開催地である熊本県が紹介された。ステージには田中孝典熊本県第一宗務所長が登場。現地の特色を紹介し、次期開催地を代表して挨拶をされた。 フィナーレは、恒例となった参加者全員による「まごころに生きる」の大合唱である。会場の参加者が大合唱をする、内局をはじめとする大会役員が一列に並び手を振りながら退場をすると、会場より大きな拍手がおくられ、大会は無事終了を迎えた。

梅花流が生まれ、その風光が息づく静岡県での開催。梅花流発祥の地で、詠道に励むお仲間同士が集うという勝縁をいただいた今年の梅花流全国奉詠大会は、参加者の思い出に残るであろう。

来年は初開催となる熊本の地で、日頃の詠道の成果を披露していただきたい。

 (広報係記)