令和元年度梅花流全国奉詠大会 開催報告
5月22日(水)・23日(木)の両日快晴のもと、令和元年度梅花流全国奉詠大会がグランメッセ熊本で開催されました。開催地である熊本県は3年前に熊本地震により甚大な被害を受けた地であります。未だ復興の途中にあり、避難生活を余儀なくされている方がおられます。
本大会のテーマは「心ひとつに祈りの梅花」であり、熊本を元気付けたいと、全国各地から6,141名の参加者が集まりました。
オープニング
定刻となり、大梵鐘の鳴り響くなか徐々に暗転。正面のスクリーンに道元禅師と熊本との由縁が映し出されました。会場となった熊本県は道元禅師が宋より帰朝される折、日本で初めて降り立った地であり、道元禅師ゆかりの寺院が数多くある場所として、改めて熊本の地と曹洞宗のご縁の深さに思いを馳せるひと時でした。
映像が終わると、潮騒の音が会場を包み込み、シルエットが浮かび上がりました。太鼓と三味線の音色が徐々に高まり、民謡「牛深ハイヤ節」が披露されました。「牛深ハイヤ節」は、江戸時代中期に天草地方で生まれた民謡で、牛深港に寄港した船乗りたちをもてなすため歌い踊ったのが始まりとされます。軽快なリズムに合わせ可憐な舞が披露されました。
続いて、開会の挨拶では副大会長の中村見自伝道部長が大会の開会を宣言し、周りを彩る竹細工の燈火が一層強く輝き、令和元年度梅花流全国奉詠大会が始まりました。
献灯献花は、地元熊本市内の幼稚園児(1日目:浄国寺高平幼稚園、2日目:妙音寺幼楽園)が、ばいかくん・ばいかさんに見守られながら登場し、緊張した面持ちで献灯献花を行い、神妙な面持ちで手を合わせる姿は非常に可愛らしく会場は温かな空気に包まれました。
引き続き行われた「お誓い」では、挙唱司(1日目:熊本県地蔵院梅花講西川タツミさん、明榮寺梅花講坂口芳子さん、芳證寺梅花講金子キヨメさん、2日目:大慈寺梅花講西本潤子さん、東禅寺梅花講大坂間たか子さん、玉祥寺梅花講河内絹枝さん)の挙唱に続いて、会場参加者も「お誓い」の言葉を唱和しました。
第1部 開会式
開会式では内局、梅花講審議会委員、梅花流専門委員等が両班と後両班を務め、会場参加者とともに「三宝御和讃」を唱える中、田中孝典熊本県第1宗務所長、村上和光熊本県第2宗務所長と大会長・鬼生田俊英宗務総長の先導のもと、曹洞宗管長・大本山總持寺貫首江川辰三禅師が上殿されました。
江川管長が舞台中央で拈香法語を唱えられた後、参加者とともに『般若心経』を読経し、続いて「大聖釈迦牟尼如来讃仰御詠歌(高嶺)」を奉詠しました。
開会法要後、正面スクリーンに熊本地震の復興支援活動の映像が映し出され、会場にいた全ての方々が、熊本地震の物心ともに受けた被害の大きさに改めて思いを寄せました。引き続き江川管長導師のもと、「熊本地震・自然災害物故者追悼法要」が営まれました。
熊本地震・自然災害物故者の追善と梅花講員物故者の冥福を祈るため、舎利礼文の読経と「追善供養御詠歌(妙鐘)」の奉詠が行われ、会場参加者とともに合掌し、心ひとつに勤めました。
その後、江川管長より、「本大会は(熊本地震の)復興を一緒にお祈りする大会であり、皆さまが志を同じくすることによって、未だ苦境にある多くの方々に梅花の法輪が転ぜられ、仏縁が生まれるよう心よりお祈りいたします」との御垂示がありました。
第2部 式典
大会長の鬼生田俊英宗務総長と田中孝典熊本県第1宗務所長、村上和光熊本県第2宗務所長が登壇し、式典のご挨拶を述べました。
はじめに、鬼生田宗務総長から「皆さまの思いが祈りとなってグランメッセ熊本の舞台から、全国へ響き渡るよう、また未来へ希望を灯すようにお唱えの成果を存分に発揮して頂きたい」と式辞が述べられました。
次に開催県である熊本県を代表して、田中孝典熊本県第1宗務所長から歓迎の言葉と、「令和」の起源が福岡県太宰府で行われた「梅花の宴」にちなむことに触れ、令和元年に同じ九州の地で行われることに深い縁を感じ、感銘を受けている旨と熊本地震では「全国各地からお見舞金、義援金、物資援助を頂戴し、また多くのボランティア活動により、熊本県民や九州に『生きる力』を与えてくれましたことに、改めて深く深く感謝申し上げます」と挨拶がありました。
第3部 登壇奉詠
今年の登壇奉詠は、参加されている講員全員が登壇し、奉詠した。靴を履いたまま登壇するようにしたのは今回が初めてであり、随所に円滑な運営のための工夫がみられました。
会場で事前に椅子と机による奉詠方法等を紹介した動画を正面スクリーンで放映したこともあり、二日間それぞれ12組の登壇奉詠が滞りなく行われました。
今年は更に中国・雪竇山資聖禅寺の御詠歌を学ばれている皆さまが登壇されました。雪竇山は2015年から梅花流の講師を招いて取り組み始めた。本大会において曹洞宗より「友好の旗」が贈呈され、ともに梅花流を愛する仲間として絆を深めました。
雪竇山の怡藏(いぞう)方丈より、「ともに釈迦牟尼仏の教えに従い詠讃歌を通じ皆さまと友好を深められることを誠に喜ばしく思っています」と挨拶があり、雪竇山の僧侶・信者40名による「釈尊花祭第一番御詠歌」が中国語と日本語で奉詠されました。中国語で奏でる御詠歌の調べにあわせ、日本語の歌詞を口ずさむ講員もおり、日中友好の御詠歌が会場に響き渡り第3部が終了しました。
次に、橋本壽幸総務部長による、曹洞宗義援金募金の御礼が申し述べられました。参加された皆さまより、2日間で合計3,514,022円という多額の浄財が寄せられました。
第4部 清興
休憩を挟み清興が行われました。今年の清興は熊本城おもてなし武将隊と水前寺清子さんのミニコンサートでした。
熊本城おもてなし武将隊は、熊本築城主である加藤清正を筆頭に、加藤清正と所縁の深い大名とその家臣団で結成された武士(もののふ)集団で、熊本ひいては九州の魅力を伝える活動をしています。本大会では華麗な演武を披露しました。
その後、「三百六十五歩のマーチ」とともに熊本県熊本市出身の歌手の水前寺清子さんが登場。会場は大きな歓声に包まれました。
続いて「ありがとう」「熊本城」を熱唱。水前寺さんは、ご自身の芸名の由来を熊本城近くの「水前寺」という地名と「加藤清正」から清の字を貰って5分で名前が決まったというエピソードを披露しました。熊本がご自身の原点であり、熊本地震の際にすぐに駆け付けられなかったことが残念であるという想いとともに募金を呼びかけました。
最後に「三百六十五歩のマーチ」を歌い、参加者全員が合唱し、多くの希望と勇気に包まれました。
第5部 閉会式
司会より本大会の閉会の時が近づいてきた旨のアナウンスがあり、「坐禅御詠歌(浄心)」が唱えられました。
その後、副大会長の中村見自伝道部長より閉会の言葉と来年度の開催地が北海道であることが発表され、紹介映像が上映されました。北海道の美しい景色や豊かな自然の恵みが紹介され、会場の心も一気に次回の大会への期待が高まる中、岩井淳一北海道管区長より、参加者の皆さまと北海道の地で再会することを楽しみにしている旨の挨拶がありました。
最後に「まごころに生きる」を参加者全員で合唱し、本年度梅花流全国奉詠大会が閉幕しました。
本大会を開催するにあたり、会場となった熊本では計り知れないご苦労や苦難があったことと思われます。しかし、大会開催を待ち望んでいた全国各地の参加者の皆さまの思いが集い、令和元年度梅花流全国奉詠大会は無事に円成することができました。
全国6,200余りの梅花講、約12万人の講員からなる梅花流のますますのご発展、講員と参加された皆さまのご健勝をお祈りし、大会の開催報告とさせていただきます。