令和4年 年頭の挨拶

2022.01.10

令和四年壬寅みずのえとらの新年が明けました。

旧年中は何方どなたにとっても大変厳しい年であったでしょう。共に新春を迎える事が出来ました幸せを慶びたいものであります。

曹洞宗が、お釈迦様、道元禅師様、瑩山禅師様と正伝された仏法・只管打坐の禅の教えを、具体的に信仰生活の実践として三つに要約したものが、「人権の尊重」「平和の確立」「環境の保全」であります。宗門檀信徒皆様方に日日の生活に生かして頂くことを願って止みません。

お釈迦様のお徳を讃えた様々な呼び名が御座いますが、その中に「両足尊りょうそくそん※」と讃嘆するお名があります。両そくとは両あしですが、それは例えば一つは「慈悲心」でもう一つは「智慧」とであります。慈悲と智慧で大地に立ち一切衆生をお救い下さる尊いお方であります。

道元禅師と瑩山禅師のお二方は両祖と仰がれる方で、勿論、慈悲と智慧のお徳をふたつながらお持ちでありますが、道元禅師は智慧を、瑩山禅師は慈悲を色濃く表わされたように受け止められています。

この一仏両祖を頂く我々は、その慈悲心と智慧の徳を頂く尊い生命であることに目覚めると、いじめや差別はもとより、奪い合い争うことも出来ません。修証義のお経にも「此の一日の身命は尊ぶべき身命なり、貴ぶべき形骸なり、此行持あらん身心自らも愛すべし、自らも敬うべし、我等が行持によりて諸佛の行持現成し、諸佛の大道通達するなり」と示されております。

年頭に当たって、この事に思いを新たにして、皆共に仏道を成ぜんことを願うものであります。

合掌

曹洞宗管長 南澤道人

※人間の中で最も尊い人。仏の尊称。この場合の両足とは物質的な足のことではなく、慈悲と智慧によって世を生きることの喩えです。

 

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ラジオNIKKEI 2022.1.1 放送 「声の年賀」より