服部内局施政方針スローガン

2022.12.06

本年10月に発足しました、服部秀世宗務総長をはじめとする服部内局の施政方針を表すスローガンが決定しました。

 

「人びとの声に心耳しんに(じ)を澄まし、社会とともに歩む」

 

今、世界は、戦争や飢餓、気候変動など多くの困難に直面し、混迷と不安に包まれています。また、国内においても、社会構造が変化する中で、貧富の格差や人びとの分断など、深刻な問題を抱えています。また、本来、人びとを救う存在であるはずの宗教自体が度々起こす問題などが、人びとの不安と不信を増幅させてしまっていることも看過できません。今、宗教そのものの存在意義すら問われていると言っても過言ではありません。

本来、仏教は、釈尊以来、社会とのつながりを重視した存在でした。人びとの信仰と喜捨によって支えられ、その人びとの苦しみや不安に寄り添い、教えと実践を通じて導き、抜苦与楽の役割を果たしてきたのです。

「社会とともに歩む」という姿勢は、そうした原点に立ち返り、誠実に、丁寧に役割を果たしていくことを目指すものです。「人はどう生きるべきか」という根本的な命題に正面から応え、「相手の幸せを自分の喜びにする」という菩薩行の実践に檀信徒とともに取り組むことで「行いを通じてともに仏になる」という信仰の喜びが実現します。曹洞宗が社会とともに歩むことで、関わる全ての人が喜びと安らぎに満ちた生活を送れることが大きな願いです。SDGsを通じて「誰一人取り残さない」社会の実現を願い、目指すこともまさに同じです。

そしてこれらの実践は、人びとの小さな声、声なき声に「心の耳」を澄ませて聴くことではじめて、正しく実現します。

思い込みでただ想像するのではなく、また大きな声に振り回されるのではなく、心の耳を澄ませて小さな思いや願いを受け止めていく。それはまずは聴く側自身の心と行いを調えることから始まります。

曹洞宗がこれまで大切に受け継いできた坐禅、また禅の教えを実践する中で、自身の心の雑音である煩悩の音量を下げていく。普段の生活や関わりから少し離れて穏やかな時間を持つ。そうした中で「小さな声」そして「万物に活かされている生命の真理」に気づく智慧が現れます。智慧は自ずと慈悲を育み、社会とともに生きようとする私たちの菩薩行を支える力となるのです。

(PDF版)