全日仏より「寺院の仏像等盗難被害について」
私たちが日頃からお守りする寺院等には、指定の有無にかかわらず多くの寺宝が格護されています。その寺宝は文化財等の指定の有無にかかわらず、永年にわたり寺院や地域、信仰者の心の拠り所としてお守りされてきました。
しかし乍ら、近年、全国的にも多くの寺社仏閣において盗難被害が発生し、心無い方によって信仰の心が踏みにじられております。
盗難にあった仏像等については、インターネットのオークションサイトや古美術商を介し、転売目的で海外へ放出されているとも聞き及んでおります。
つきましては、全国の寺院等の管理者が、改めて防犯対策への意識を強め、さらには地域による方策を講じられますことを、切にお願い申しあげます。
【仏像等盗難被害の防犯対策】
1.現状の把握と記録
〇寺院・地域のお堂などにある仏像等の有無を確認する。
〇写真撮影、寸法、銘文などの詳細な記録を作成する(万一の捜索に不可欠)。
2.物理的な防犯対策
〇センサーライトや警報器・防犯カメラを設置し、犯人を威嚇・撃退する。
〇鍵を複数かけるなど、侵入に手間取らせる工夫をする。
3.地域の見守り
〇無住であったり車で接近しやすいなど盗難に遭いやすい場所を把握し対策を行う。
〇住民が無関心にならないことが最大の防御力となる。
私たちの大切な仏像等を守ることは、信仰はもとより地域の歴史や先人たちの生きた証を守ることにもつながります。被害に遭う前の対策をしっかり行うこと、私たち寺院が常に取り組むべきことであると考えます。
2025年(令和7年)12月2日
公益財団法人全日本仏教会
理事長 日谷昭應



