迷える中年ライターが『修証義』を書き写してみた・特別編 『禅僧たちと座談してみた 第2回(全3回)』 『修証義』を読むことと理解すること


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第1回は『修証義』を噛み砕き、咀嚼して、文字で伝えることの難しさや反省が多く飛び出した座談会の冒頭でした。今回は、そういうところを踏まえながら、では『修証義』の大事な部分はどこにあるのか、どう伝えていけばいいのかなどが語られていきます。

ライター 渡辺ロイ

前回『修証義』について、曹洞宗の教えを端的に、整理された語り口で綴られたテキスト、と説明しました。その美しいほどの端的さは、だからこそ読み手が考えなければならない部分がある、という指摘が禅僧たちから出てきました。

「このテキストは、数学でいうならいわば公式かもしれません。応用が提示されていない。つまり、人々の日々の悩みという応用問題に対して、きちんと応えているのかどうか。応用の部分で『修証義』にはまだまだ活用の余地が残されているのではないか、と思います」

「長い人生を見たとき、仏教の教えというのは大いにその指針となります。しかし、人生の中の瞬間瞬間の悩み事、たとえば女子高生の恋愛の悩み、受験生のテストへの不安、会社での人間関係など、長い人生の断面を見るような部分において『修証義』をどう役立てることができるのか、それを考えないといけません」

 人はそれぞれに悩みを抱えています。自分の悩みの全てが解決するような魔法の書物があるとは思っていませんが、他の人のものでも似たような悩みを解きほぐす過程を知れば、自分の役に立つのではないか、と考えます。

 ライターはこの部分において、やはり禅僧たちと同様の物足りなさを感じていました。

「全文を読むのはそれなりの労力が必要でした。でも、読み終われば誰でもそれなりに何か拾えるものがあるのは確かでしょう。ただ、現代語訳が逐語訳の域を超えておらず、解釈の仕方の一例もなかったりします。だからポアンカレ予想とか、ちょっと突飛な例を私の方から出して、一度そっちに思考をぶつけてから噛み砕いてみました。

 多くの一般の人のことを思えば、読み進めることの抵抗感を少なくする、何かのサービスがあってもいいのかなと思いました。せっかくいいことが書いてあるのに、そこにたどり着くのに労力が必要でしたから」

 禅僧からは、この『修証義』を応用する方策についてこんな考えが提示されました。

「応病与薬という言葉があります。病に応じた薬を与えるように、必要とする人に必要な教えを説くのです。『修証義』は、今は薬のラインナップはこれですと提示したということです。ここからは、多様なニーズに曹洞宗が信仰の立場からどう応えを提示できるかを考えていかないといけないのでは」

 話はさらに個人の悩み、そしてその寄り添い方へと広がります。

「お坊さんなら答えてくれるだろう、と向こうが想定していること以外、実はたくさんの引き出しがあるんです。線香は何本立てるのか、死んだらどこに行くのか、というようなこと以外に、たくさんある。でも、質問を考えること自体が、実は少し難しいことなのかもしれません。どんな人にも必ず聞きたいことがあるのですが、それを質問の形に整理することに慣れていない。質問を引き出す仕組みさえあれば、禅僧が応えることはたくさんあるはずです」

「質問者は、質問することで回避不可能な絶対的な答えが返ってくるかもしれない、それに応じることができなかったら、自分の完璧な間違いが証明されるかもしれない、そういう怖さがあるのかもしれません」

『修証義』を広く正しく伝えるために、より応用の形で利用すべきではないか。これからの『修証義』について、さらに話が深まっていきます。続きは次回に。

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