曹洞宗の寺院向けに「お寺にきてほしい」ポスターを作成しました

2021.09.16

曹洞宗では毎年、全国の曹洞宗関係者向けに人権学習用資料作成を行っています。2018年から2021年まで社会にある障害をテーマに、障害者差別解消法やその法律の基礎となる「障害の社会モデル」という視点について周知するものや、障害に直面する方々と一から作成した冊子や映像をお届けしてきました。

ステッカー(左)、ポスター(右)

今回、ご紹介する動画は「みんなお寺に来てほしい」というメッセージを届けるためのポスターを掲示するために、色んな方に集まって頂いた1日をまとめた映像です。檀家の皆さまを始め、ご寺族や今まで曹洞宗にご協力いただいた障害当事者の方々に集まっていただき、住職からポスターの趣旨などを伝える様子が撮影されています。

このポスターは、これまで資料作成に携わって頂いた当事者の方々からの意見を反映したものです。それは大変、厳しい意見だったように思います。

私たち人権擁護推進本部が直面したのは「障害者は諦めています」というご意見でした。社会にある障害が多すぎて、多くのものを諦めさせられてきた当事者の方々は、そもそも環境が整っていないであろう場所には最初から行きたいとすら思わないのだそうです。実際、2019年に作成した資料に協力していただいた車いすユーザーの方から「本堂に上がれるなんて思ってもみなかったのでとても嬉しい」という声もいただきました。裏を返せば、その方にとってお寺の本堂は「この世に無いもの」だったということです。

そこで、障害理解のためのポスターやステッカーを各寺院で掲示してもらうことで、当事者の方々にも来てほしいというメッセージが届き、お寺に来ても大丈夫なんだということをお伝えしたいと考えました。ポスターには寺院名を記入する欄も設けられており、寺院を代表する住職としてのメッセージとしても使用可能にしています。

今回の動画は、寺院の側から障害のある方だけでなく、高齢者、お子さま連れや妊娠中の方など「みんなお寺に来てほしい」と発信することの必要性を知っていただきたいという取り組みのモデルケースとして作成されました。動画では、集まっていただいた方全員でポスターを掲示する様子も紹介しています。

実は「せっかくポスターやステッカーを掲示するのなら、掲示そのものが一つの告知イベントとなったほうがより効果が高いし、我々もうれしいです」そんな当事者の声も今回の動画に反映されています。皆様に見てもらい易く、イメージが湧きやすいように、本編の動画は時間的にもコンパクトにまとめました。

また、一方で撮影当日の当事者の声、ご住職の声、寺族さん、檀信徒さんの声を集めたインタビュー編も用意しました。少々ボリュームがありますが、お寺と「みんな」の繋がりを考える一助になれば、と思います。本編をご覧いただき興味がわいた方は是非、ご覧ください。

動画
https://www.youtube.com/watch?v=UouiCRsuKKQ

インタビュー集
https://www.youtube.com/watch?v=8ZsumGcOtno