【シャンティ国際ボランティア会(SVA)だより】理事就任にあたって思うこと 大衆の威神力を以て ~仏教青年会活動の学びから~ 

2025.09.17
村山博雅師(筆者)

この度、SVAの理事のお話をいただいたとき、まず私はとても驚き、すぐにお返事をすることができませんでした。なぜなら、私が子どものころから慣れ親しんできた、そしてとても尊い活動を続けてこられた、私にとってボランティア会の象徴ともいえる組織の皆さま方からのお声がけであったからです。

私がSVAのことを知るようになったのは、まだ幼い、小学生のころでした。「曹洞宗には、曹洞宗ボランティア会といって、カンボジアの人たちを一生懸命助けている偉い人たちがいるんだ」と、私の師僧(父)が教えてくれました。まだベトナム戦争や、ポル・ポト政権、インドシナ難民やボートピープルなどの言葉を、ニュースで聞くことはあっても意味がまったく分かっていないころの話でした。でも、日本とはまったく違う、とても大変な状況にある外国の人たちを助けている人たちが身近にいるということに、幼い私は憧れのような気持ちを感じていたのを覚えています。

その後、しばらくしてから、私の住むお寺の行事があるときには常にお檀家さんが担当して、かわいらしい巾着袋や小物入れ、鞄などが並ぶお店が出るようになりました。クラフトエイドです。「これを買ってもらえれば、つくってくれた女の人たちを助けることになるんだよ」お檀家のお母さんたちがそんなことを教えてくれました。私にとってSVAの活動は、常に身近にあるものでした。

そして成人して少したったころ、阪神・淡路大震災が起こりました。私の住むお寺は全壊しました。神戸ではなかったので、直接ボランティア活動をしていただくことはありませんでしたが、SVAや青年会の皆さまが、神戸でボランティアをされていることを聞きました。いろいろな経験がきっかけになり、このころ、僧侶になることを決意しました。

修行から戻り、青年会活動を続け、地元の青年会会長を経て全日本仏教青年会の理事長になることが決まったころに、東日本大震災が起きました。あまりにも大きな災害に対して、仰せつかった役職に合わせ、阪神・淡路大震災で当時できなかったことをしなくてはならないという思いを元に、支援活動に邁進しました。そこでは、やはり現地で活動を展開するSVAの皆さまにお会いしました。

そんな中、原発事故にかかる福島県、ひいては日本に対する海外からの風評被害に直面しました。理事長として何かできることはないかと考えた末、世界仏教徒青年連盟(以下、WFBY)の役員になるべきと考え立候補しました。そして、副会長に就任し、被災地の現実を海外に伝える活動に従事しました。

東日本大震災の支援活動として福島で除染を行う筆者

1年半後に福島県いわき市で、国際仏教徒青年交換プログラム(IBYE)を開催しました。日本の僧侶が法衣を脱ぎ捨てて支援活動を努める姿とともに、被災地への正しい理解、現地の人々の実際の姿と思いを海外の人々に発信することができました。

WFBYの本部は、タイのバンコクにあります。ドゥアン・プラティープ財団の名前も現地で知り、シーカー・アジア財団(元SVAタイ事務所)を訪ねる機会もいただきました。とても丁寧にお迎えいただき、現地の状況と具体的な活動のご案内をいただきました。そのころから、SVAの活動とWFBYの活動がどこかでつながるのではないかと思い始めました。

その後機会があり、曹洞宗全国宗務所長会によるラオス・ルアンパバーンでの小学校贈呈式に参加させていただきました。また、SVAの皆さまのお世話になり、現地の子どもたち、大人の方々とも深く交流をさせていただきました。たくさんの学びをいただきました。

ネパール大地震支援活動として孤児院を訪問
(2015年、筆者中央右から2人目)

現在私はWFBYの役員として13年目、会長として7年目になりますが、その活動の中でとても大事なことを教えられてきたような気がします。それは、一人では何も成し遂げることができないということです。いつも周りの多くの皆さま方に助けていただきながら、成すべき活動、成すべき支援をさせていただいてまいりました。私個人の力が微力であっても、必ず全力を尽くす。私の青年会活動はそんな繰り返しだったと思います。

今まで、さまざまなときにさまざまな場所でSVAの皆さまとご縁をいただいてまいりました。これからは理事として内側のご縁をいただきながら、これまでつとめてきた活動で培ってきた学びを活かすことができれば有り難く思う次第です。大衆の威神力という言葉がありますが、求められる支援は一人では決して成り立ちません。皆さまの、多くの方々の力と思いがあってこそ初めて動き出すのです。 皆さま方におかれましては、これからも何卒ご理解とご協力を賜りますれば幸いに存じます。心よりお願いを申し上げながら、「共に生き、共に学ぶ」ことのできる平和(シャンティ)な社会を、一緒に目指してまいりたいと思います。

シャンティ国際ボランティア会
〒160-0015 東京都新宿区大京町31 慈母会館2·3階